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動画で学ぶ肝癌ラジオ波焼灼療法の実際 DVD+BOOK


編集:椎名 秀一朗

  • 判型 B5
  • 頁 48
  • 発行 2009年07月
  • 価格 12,960円 (本体12,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00462-6
エキスパートに学ぶ、肝癌ラジオ波焼灼療法の真髄
近年広く普及した肝癌のラジオ波焼灼療法(RFA)。しかし術者により技術レベルの差は大きく、治療効果・安全性に影響が及ぶ。本書および付属のDVDでは、トップクラスの治療数と成績を誇る東大消化器内科が行う治療中の映像とUS像を収録し、RFAのさまざまなテクニックを教授する。エキスパートの技をじっくりとご覧いただきたい。
序 文
刊行にあたって

■ RFAが導入されて10年が経過した
 経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)がわが国に導入されて10年が経過し,10年生存者もみられるようになった。エタノール注入,マイクロ波凝固の時代から振り返れば,20年生存者もみられる。「針を刺すだけで癌が治るわ...
刊行にあたって

■ RFAが導入されて10年が経過した
 経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)がわが国に導入されて10年が経過し,10年生存者もみられるようになった。エタノール注入,マイクロ波凝固の時代から振り返れば,20年生存者もみられる。「針を刺すだけで癌が治るわけがない。癌はそんな簡単なものではない」とさんざん言われたが,経皮的局所療法で治療された患者が多数長期生存しているという厳然たる事実の前に,そのような声は影を潜めた。

■ RFAへという潮流は今後も変わらない
 現時点ではまだ,「肝癌の治療でRFAと肝切除のどちらを選択すべきか」の議論も続いている。しかし,RFAと肝切除とで成績に大きな差がないことは多くの方が実感されているように思う。数百例を対象にした比較試験でも,「生存率では差が出にくいので無再発生存率をエンドポイントにしたい」と外科側が主張する状況である。低侵襲で再発に対する治療も容易なRFAの症例が増加し,肝切除例は減少してきている。機器が改良され,超音波造影剤が導入され,MDCT等により治療効果がより精確に評価できるようになり,RFAの成績は現在も向上している。肝切除からRFA等の低侵襲治療へという大きな流れは今後も変わることはないだろう。

■ 技術格差が大きいことがRFAの問題点
 RFAの問題点は,その技術格差が大きいことである。肝切除ならば研修を積み技術を身に付けた者しか手を出さない。ところがRFAなどの経皮的局所療法は,よく見れば上級者と初心者との差は歴然としているのだが,一見簡単な手技であるため,ほとんど研修を受けないまま行われている場合も少なくない。肝切除よりも技術格差がずっと大きいと考えられる。
 技術格差があるのは,きちんとした技術を習得する機会が少ないからである。学会では,治療成績などについては発表されるが,具体的な器具やノウハウ・テクニック,研修について討論されることは少なかった。施設間の交流も少ないため,他の施設でどのようにRFAが行われているかを見ることもなかった。
 また,精確な技術を身に付けても必ずしも評価されなかったことも,技術格差が存在するままRFAが行われている原因だろう。よく言われることであるが,第一人者が精緻な治療を行っても,初心者が不完全な治療を行っても,RFAの診療報酬は同じ15,000点である。

■ 精確な技術を持たなければ今後は生き残れない
 癌に対する低侵襲治療は時代の流れであるが,だからといってどの施設にもRFAの症例が集まってくるわけではない。どの施設にはどのようなドクターがいて,どのような治療がなされ,症例数はどれくらいで,どのような成績であるか,インターネットや雑誌,新聞などから情報を収集して来院する患者も少なくない。各病院の情報開示が今後はさらに求められ,そのような傾向がますます強まるだろう。また,合併症が起こった場合,不満足な治療結果となった場合など,患者から詳しい説明を求められることもあるだろう。
 さらに,診療報酬改定と連動して,何らかの認定制度が設けられることになるかもしれない。色々な施設が不十分な技術でRFAを実施し,不十分な治療成績にならないよう,全体のクオリティ・コントロールを図ることになるだろう。

■ 技術を習得するにはhigh-volume centerで研修を受けることが最良である
 精確な技術を習得する近道は,やはりhigh-volume center(症例数が多い施設)で一定期間の研修を受けることであろう。病変の存在部位,数,大きさ,予想される悪性度,肝機能などは症例により様々であるが,RFAを実施する際にはこれらの因子を分析し,どのように焼灼するかを計画することになる。しかし,自分の持つノウハウ・テクニックの範囲内でしか対応できないのである。様々なノウハウ・テクニックが集積されたhigh-volume centerの上級者は,RFA困難と思われる症例に今まで想像できなかったような方法でRFAを行うこともあるだろうし,通常の症例であっても経験の少ない術者よりは様々な点に留意して確実に治療を行っていくだろう。それらを見ることは,自分のノウハウ・テクニックだけで症例を重ねていくよりも貴重な経験になるだろう。

■ このDVDはhigh-volume centerのノウハウ・テクニックを伝えるものである
 しかし,誰もがhigh-volume centerで研修を受けられるわけではない。東京大学消化器内科は肝腫瘍のRFAでは世界でも最多の実績があるが,このDVDは当科で行われているRFAのノウハウ・テクニックを余すところなく伝えようと作成したものである。ぜひ参考にしていただきたいと思う。また,自分たちのほうが優れた方法を行っているというご意見や,このような場合にはこのような方法はどうかというご提案があれば,お教えいただければ幸いである。将来,このDVDを改訂する機会に必ず対応したいと思う。私たちの方法も,年月とともに変化している。常により優れた方法,より優れた用具を求め,良いと思えば,自分たちの方法にはこだわらない。私たちがこだわるのは治療成績だけである。それが患者にとって唯一重要なことだからである。

■ 最後に
 RFAの対象は外科ならば大きな侵襲を覚悟して肝切除を行う悪性腫瘍であり,RFAには肝切除と同等の効果をあげることが要求される。「外科医が開腹して癌を少しの部分も残さず切除するのと同じことを,超音波ガイド下に行わなければ癌は治らない」そう考えれば決して簡単な技術ではない。その技術水準の確保や研修は決して軽視されてはならないはずである。このDVDを作成したのも,RFAの技術論に関する具体的討論の基準が必要と考えたからである。不完全な技術で行われた治療成績を色々と解析したり,他治療との優劣を論じたりしても意味がない。まず,きちんとしたノウハウ・テクニックを身につけるべきである。なお,私たちの施設での研修を希望する方がいれば歓迎する。

 2009年6月
 椎名秀一朗


RFAと比較して肝切除のほうが除去する肝体積が多い以上,原理的に考えても肝切除のほうが再発は減少する。RFAでは,早期の再発は多くとも,肝切除と比べて侵襲が少なく,肝機能に及ぼす影響も少なく,再発後の再治療も容易に行えるため,生存率が良くなる可能性がある。やはり,生存予後をみなければ意味がない。肝細胞癌の治療法を比較する際に,エンドポイントとして無再発生存率を用いることについてはガイドラインでも否定的な見方が多い1-3)
1)Llovet JM, Di Bisceglie AM, Bruix J, et al:Panel of Experts in HCC-Design Clinical Trials. Design and endpoints of clinical trials in hepatocellular carcinoma. J Natl Cancer Inst. 2008;100:698-711
2)Bruix J, Sherman M:Practice Guidelines Committee, American Association for the Study of Liver Diseases. Management of hepatocellular carcinoma. Hepatology 2005;42:1208-1236
3)Goldberg SN, Grassi CJ, Cardella JF, et al:Society of Interventional Radiology Technology AssessmentCommittee;International Working Group on Image-Guided Tumor Ablation. Image-guided tumor ablation:standardization of terminology and reporting criteria. Radiology 2005;235:728-739
目 次
Chapter 1 プランニングエコー
Chapter 2 ポジショニングの重要性を示す症例
Chapter 3 心臓直下の病変
Chapter 4 人工腹水下にRFAを施行した症例
Chapter 5 小病変多発症例
Chapter 6 大小病変混在症例
Chapter 7 肝左葉外側区の病変
Chapter 8 肝左葉左端の病変
Chapter 9 尾状葉の病変
Chapter 10 Spiegel葉の病変-人工胸水下に右葉背側からアプローチした症例
Chapter 11 Bモードで同定不能なTAE後の小病変を造影超音波で同定した症例
Chapter 12 造影超音波で再発部位を確認した後RFAを施行した症例
Chapter 13 転移性肝癌の大型病変〔関東中央病院症例〕
Chapter 14 門脈に接する病変〔関東中央病院症例〕
Chapter 15 主要門脈枝に接する病変〔埼玉医科大学症例〕
Chapter 16 1cm以下の小病変に対する展開針の使い方〔埼玉医科大学症例〕
Chapter 17 静脈麻酔併用無痛RFAの実際〔帝京大学ちば総合医療センター症例〕

付属のDVDには全17Chapterの映像が収録されています(計約120分)