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今日の整形外科治療指針 第5版

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全人的医療を目指す整形外科のすべての疾患の診断・治療について,専門医が最新の知見をまとめた“整形外科臨床百科事典”の全面改訂第5版。今版では,主要項目に〔参考文献〕をつけるとともに,各項で〔問診で聞くべきこと〕,〔患者説明のポイント〕や〔看護ケアとリハビリの注意〕などをつけて,内容の充実を図った。
シリーズ 今日の治療指針
編集 二ノ宮 節夫 / 冨士川 恭輔 / 越智 隆弘 / 国分 正一 / 岩谷 力
発行 2004年03月判型:B5頁:944
ISBN 978-4-260-12592-5
定価 19,800円 (本体18,000円+税)
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  • 目次
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1 診断と治療総論
2 外傷一般
3 スポーツ傷害
4 感染性疾患
5 関節リウマチ,慢性関節疾患および骨壊死症
6 骨・軟部腫瘍および腫瘍類似疾患
7 骨系統疾患,代謝性骨疾患
8 筋・神経疾患
9 末梢循環障害,壊死性疾患
10 リハビリテーション
11 整形外科医と介護・福祉
12 肩甲帯の疾患
13 上腕の疾患
14 肘関節の疾患
15 前腕の疾患
16 手関節の疾患
17 手の疾患
18 脊椎・脊髄疾患
19 頚椎部の疾患
20 胸椎部,胸郭の疾患
21 脊柱変形
22 腰・仙椎部の疾患
23 股関節の疾患
24 骨盤の疾患
25 下肢全体の問題
26 大腿の疾患
27 膝関節の疾患
28 下腿の疾患
29 足関節,足部の疾患
付録
資料1. 治療成績判定基準
資料2. 関節可動域表示ならびに測定法
資料3. その他の資料
和文索引
欧文索引

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整形外科医のバイブルが,時代に合わせた記述を追加して改訂
書評者: 落合 直之 (筑波大教授・整形外科学)
 本書は,1987年の初版刊行以来4―5年ごとに改訂を重ね今回で第5版を迎えることとなった。これまでのものと装いも新たに淡いブルーを所々に配する2色刷りとなり,本を開いたときの最初の印象は,どことなく新鮮な明るい感じを受ける。執筆陣も大幅に変わり各項目ごとに患者説明のポイント,看護のケアとリハビリ上の注意も付記されるなど,現代の社会的要求によく応えている。これまで3版,4版と執筆陣の一角に加えていただいたことからよけい馴染み深いものがあり,また外来に置いておくには大変コンパクトでかつ安定感も良く,ちょっと記憶の曖昧な事項の確認,あるいは,不明な事項を調べるのに大変便利な思いをさせていただいてきた。今回のものも座右の書の1つとして,ぜひ手元に置いておきたい本である。

◆これからの整形外科医が知らなければならないこと

 さて,高齢化社会を迎え,これからはいかに生き生きとした生活を送れるかが重大な課題である。健康スポーツの導入など予防医学がこれまで以上に重要視される。しかし,不幸にして介護が必要になった時,できる限り自宅で自立した生活が送れるよう平成12年4月から介護サービスを総合的一体的に提供する制度が施行された。ちなみに,平成10年度の国民生活基礎調査によると,介護を必要とする原因疾患は,脳血管障害,ついで高齢による衰弱,痴呆。骨折・転倒,リウマチ,関節炎などの整形外科疾患は,第3位を占める。したがって,整形外科医は積極的に介護保険制度を利用し要介護者の自立を支援する役割を負っている。この社会資源の活用にはそれなりの知識が必要であるが,新たにはじまった制度でもあり,なじみがたいものがある。本改訂版では,新たに第11章として,介護・福祉の制度について整形外科医にぜひ知ってもらいたいことが極めて簡潔に要領よくまとめてある。

 また,「私のノートから/My Suggestion」と題するコラムも実にユニークな取り組みである。ここには,本書をこれまで執筆されたこの道の大家25名が,これまでの整形外科の医療・研究に携わった経験を踏まえ,後輩の方々への大変含蓄のあるメッセージを語っている。医療過誤が取りざたされる今日,これだけの医道に関わる処世訓をきちっと弁えておけばまず間違いなく医師としての道から外れることはないであろう。自らの経験に照らし合わせてなるほどと納得のいく哲学が,大家の経験を通して書かれておりなかなか味わい深く読ませていただいた。

◆読者への配慮が随所に

 巻末付録資料として,標準脊髄損傷神経機能評価表の掲載や人工膝関節置換術・人工骨頭置換術におけるスタッフ・患者用クリティカルパスの実例が収録されている。在院日数の短縮などにはクリティカルパスの導入も必須であり,この実例は,さまざまな整形外科疾患のパス作成の参考になろう。また,身体障害者手帳診断書の記入のしかたが懇切に解説されているのもありがたい。さらに,各項目における必読の参考文献が新たに掲載されたことや索引がいっそう充実されたことなど使い勝手がいっそうよくなっており,本書は使用者への配慮が実によく行き届いているというのが読後感である。

整形外科領域のエンサイクロペディア
書評者: 守屋 秀繁 (千葉大教授・整形外科学)
◆診察机に1冊置きたい

 加齢とともに物忘れをするようになってきました。特に固有名詞を度忘れしてしまうことがしばしばあります。外来で,私の後ろに学生がいる,研修医がいる,という状態でいざ教えようと思った時に固有名詞が出てこなくて,まことに恥ずかしい思いをすることがあります。先日はHeberden結節のHeberdenが出てきませんでした。

 本書は1987年に「整形外科領域のエンサイクロペディア」をめざして発行され,以後順調に改訂を続け,第4版が出てから4年で今回,第5版として上梓されました。今回も随所に編者の斬新な考えが取り入れられており,そのカバーする領域はただ単に整形外科領域に止まらずにますます拡大し,今回からは「整形外科医と介護・福祉」の章にまで及んでいます。まさに当初の目的であったエンサイクロペディアそのものです。私のように物忘れの激しくなった者には,外来の診察机の上に置いておけば恥をかかずにすむ,大変便利な1冊です。内容的には,この1冊でほとんどの整形外科疾患の治療方針の概要を知ることができますので非常に有用なのですが,手術の具体的なことまでは入れられないということは致し方ないことかもしれません。

◆研究・診療に直接携わる若手執筆者も

 本書の具体的な内容としては,付録を入れて30章よりなり,まず第1章では,トピックスとして現在,話題を呼んでいる三次元CT,MRIの最新の知識,クリティカルパス,デイサージャリー,ロボット手術,遺伝子治療などの記載があり,以後,第2章は外傷一般について述べてあり,第3章ではスポーツ傷害,第4章で感染性疾患,第5章で関節リウマチ,慢性関節疾患および骨壊死症,第6章で骨・軟部腫瘍および腫瘍類似疾患,第7章で骨系統疾患,代謝性骨疾患,第8章で筋・神経疾患,第9章で末梢循環障害,壊死性疾患,第10章でリハビリテーション,第11章で整形外科と介護・福祉,第12章以降,第29章まで部位別の疾患について最新の知見が述べられていて,その後に付録として治療成績判定基準,関節可動域表示ならびに測定法などが記されています。

 執筆者は必ずしもその分野の第一人者と言われている方々だけではなく,実際にその分野の研究・診療に携わっている若手の方も含まれており,その記述は大変興味深いものがあります。特に「患者説明のポイント」や「看護ケアとリハビリ上の注意」は現代にマッチした素晴らしい項目立てと感じました。また,今回から「私のノートから/My Suggestion」というコーナーが設けられ,われわれの大先輩の示唆に富む教訓が述べられており,大変勉強になりました。研修医のみならず整形外科診療に従事するすべての医師の診療机の上に置いていただきたい書として推薦する次第です。

現在における整形外科診療の集大成
書評者: 河合 伸也 (山口大教授・整形外科学)
◆診察室に常備して

 『今日の整形外科治療指針 第5版』は,現在における整形外科診療の集大成とも言い得る充実した内容である。極めて多岐にわたる整形外科の各種疾患について,疾患の概念と診断の要点に基づいて,治療指針が明快に記載されている。本書は既刊の版に比べて内容が最も充実しているだけでなく,外観も表紙の材質や体裁が一新されており,書籍としての格調が一層高くなった。本書はいわゆる教科書とは異なって,日常診療の実際に則して記載されているので,診察室に常備しておき,機会あるごとに気軽にこの本によって現在の治療方針を確認しておくことは,安心・安全な医療を提供するコツの1つである。診断と治療に迷う時だけでなく,すでに自分にわかりきった疾患であっても,現在の考え方を確認しておくことで,今の水準の診断と治療の方針を知り,時代に即応する考え方を整理できる点において極めて有用である。

 勿論ことであるが,治療の方法には多様なアプローチがあり,この本に記載されていることがすべてではない。中には独自の見解に基づく記述もなされており,自分が実践している治療方針や既刊の本書と比べることで,同じ疾患であっても筆者によって捉え方が若干異なることを興味深く知ることができる。すなわち,現在の医学,ことに医療は未だに発展途上にあり,絶対的な存在ではないが,科学性,標準性,普遍性を考慮し,現在の水準に照らして,個別に対応することが医療であり,謙虚に患者さんと対応することの大切さを改めて認識できる。

◆整形外科領域の時代の方向性を感じ取れる

 振り返ってみると,整形外科の診療内容は随分と変貌してきた。中には基本的な考え方,診断基準や治療方針が大きく変わっている疾患も少なくない。今回の特徴の1つとして,この本の冒頭に,トピックスとして現在大きい話題になっている8項目が取り上げられており,整形外科領域における新しい考え方や手法が記載されている。この部分を読むことで,時代の方向性を感じ取ることができる。さらに,整形外科が運動器疾患の専門であるだけに,生活機能を重視して治療する必要があり,当面の苦痛や苦悩に対応するだけでなく,障害を持ちながら生活している人々に欠かせない介護・福祉についても深い知識と関心を持っておくことは治療方針の選択にあたり重要な要素である。その意味においても「整形外科と介護・福祉」の章が今回追加されていることは特筆に値する。通常の教科書では得がたい情報が適切に記載されているので,整形外科医としてこの項目を是非ご一読されることをお薦めする。

 各種の疾患に関する記述の中に,整形外科の先輩が記載されている「私のノートから/My Suggestion」という短文が適宜ちりばめてあり,先人の診療における思いを伺い知ることができる。それぞれに心に染み入る内容である。

 時代が大きく変化している現在,医学医療の従事者は常にその時代の水準に適応できるよう研鑽を積み重ねておくことがプロフェッショナルとしての責務である。その研鑽の一助として本書を手元に常備しておくことを推奨する。

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