• HOME
  • 書籍
  • オレム看護理論にもとづく看護サービス管理の実際


オレム看護理論にもとづく看護サービス管理の実際

もっと見る

保健医療の構造改革が進むなかで、看護は社会システムに占める位置と役割を明確化し、隣接領域との差別化と共存を図らなければならない。看護管理者やベテランナースが直面するこのような課題に、著者らはオレム看護理論(セルフケア不足看護理論)の枠組みからアプローチし、21世紀の看護サービス提供の課題に具体的な展望を与える。
シリーズ 看護理論
セラ E. アリソン / キャサリン E. マクローリン=レンペニング
小野寺 杜紀 / 木下 里美 / 細田 泰子 / 新村 洋未
発行 2005年08月判型:B5頁:216
ISBN 978-4-260-00024-6
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 目次
  • 書評

開く

第1章 保健医療サービスの組織構造―21世紀に向けての動向
第2章 看護の領域
第3章 看護管理のモデル
第4章 対象集団の記述―看護サービスを提供するために
第5章 看護管理のプロセス
第6章 デザインすること―看護専門職の一機能
第7章 臨床コミュニケーションシステム
第8章 質のコントロール―患者成果
第9章 質の管理―看護基準
第10章 財政管理と安全で効果的な看護の提供
第11章 看護職員の活用
第12章 理論に基づいた看護を実現するための戦略
むすび―将来にわたって看護の提供を保障するには
訳者あとがき
索引

開く

看護師の知的創造性の促進をめざして (雑誌『看護管理』より)
書評者: 原田 博子 (萩市民病院看護部長)
◆待望の本格的理論書

 日本看護協会による認定看護管理者認定審査は,今年度で第9回目を迎えます。その登録数は全国で134名(2005年1月現在)になりましたが,その数はまだ十分とはいえません。また,大学教育のなかで看護管理を専門的に学ぶには,全国にいくつかの看護系大学院があるのみです。看護理論が看護管理に有益であるという考え方は,1980年代から始まったばかりです。いままでは企業経営学など,他の領域から借用した知識であったと言われても仕方がなく,本書のような本格的理論書が待ち望まれていました。

 オレム看護理論に関する翻訳者といえば,今回もそうであるように小野寺杜紀氏だと誰もが認識しているかと思います。『オレム看護論』は日本語版では第4版まで改訂が進んでいますが,そのたびにオレムは新しい知識と洞察とを看護にもたらしたといわれています。そのオレムの著書の翻訳に長年携わってこられた小野寺氏だからこそ,あとがきで「身近なところから着手し,看護指向的機能と管理指向的機能の両方を併せもつ看護管理者がリーダーシップを発揮していくことが必要」,といえるのだと実感します。

◆読みやすい構成のなかに多くの示唆

 著者のアリソンとレンペニングは,セルフケア不足看護理論を適用した看護の実践や看護サービスの組織化と運用,看護教育プログラムの開発などに携わってその経験に基づいてこの本を書いています。特に看護管理に関して,看護実践に実質的な変化をもたらそうとするならば,看護管理側のリーダーシップが不可欠であるとしています。

 本書で特筆すべきは,オレム看護理論に関する本に通じる特長でもありますが,それぞれの章の内容にもとづいて,読者が読みやすいよう構成している点です。例えば,オレム自身が序の部分で述べているように,第1・2・4章は看護が生産される状況とその場の特徴について,第3・5章は看護実践者や看護管理者の責任と業務遂行について,第6~12章までは,保健医療事業における看護生産業務の固有で重要な特徴を記述しています。まるでオレム自身が意図してわかりやすく構成しているように,読み進めることができました。

 さらに読み進めていくと,それぞれの章の中に,今まで日常業務のなかで看護実践者として,また看護管理者として感じていたことが明確に記されていることに驚かされます。多くの示唆を与えてくれる本書ですが,そのなかでも特にすばらしいと感じた点は,看護管理者は関係や環境を調整することよりも,看護師の知的創造性の促進という観点にもっと関心を寄せる必要がある,とされていることです。そして将来にわたって看護の保証をするには,看護は理論的見地から「思考すること」が重要であり,看護管理者も看護実践の指導者もメンタルモデルをもつことが必要だと述べられています。

 看護管理者や指導者の方に,ぜひ今後の看護管理や看護実践に活用していただきたい書として推薦します。

(『看護管理』2005年12月号掲載)

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。