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プラクティカルコロノスコピー 第2版

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5万例にのぼる豊富な症例の経験をもつ著者が,大腸内視鏡(コロノスコピー)の一人操作法による挿入手技と内視鏡的ポリペクトミー・粘膜切除術を分かりやすく解説する。開設10年のクリニックでのoffice endoscopyの経験を踏まえ,患者にやさしい「自然流コロノスコピー」を目指す。インフォームドコンセント,高齢者の内視鏡検査,無床診療所におけるコロノスコピーなどの項目を新設。偶発症とその対策,大腸粘膜観察法などの項目を一層充実。
岡本 平次
発行 2001年12月判型:B5頁:296
ISBN 978-4-260-11988-7
定価 20,900円 (本体19,000円+税)
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  • 目次
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第1部 一人操作法によるトータルコロノスコピー
 第1章 一人操作法による大腸内視鏡検査について
 第2章 大腸内視鏡検査を始めるに当たって-前処置,体位,使用スコープ
 第3章 トータルコロノスコピーの実際
 第4章 検査中・検査後の注意点,留意点
 第5章 「自然流コロノスコピー」に上達するためには
 第6章 より容易にトータルコロノスコピーを施行するために
 第7章 大腸内視鏡検査の偶発症とその対策
 第8章 内視鏡医自身のケアについて
 第9章 電子スコープについて
 第10章 大腸内視鏡検査の応用

第2部 内視鏡的ポリープ切除術および粘膜切除術
 策11章 内視鏡的ポリペクトミーおよび粘膜切除術を始めるに当たって
 第12章 内視鏡的ポリペクトミーおよび粘膜切除術の実際
 第13章 摘除標本の取り扱い法
 第14章 適応と禁忌
 第15章 ポリペクトミーの偶発症
 第16章 Endoscopic Surgeryの応用および今後の展望
 第17章 Endoscopic Surgery前後の注意点
 第18章 大腸腫瘍性病変の見落とし,再発および大腸粘膜観察法
 第19章 インフォームド・コンセントと医療訴訟
 第20章 無床診療所におけるコロノスコピー
 第21章 コロノスコピーQ&A

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魅力全開,一人法によるトータルコロノスコピーのすべて
書評者: 幕内 博康 (東海大教授・外科学)
岡本平次著『プラクティカルコロノスコピー』第2版が出版された。第2版が出されたということは,とりもなおさず第1版が売れたということである。また,多くの読者の役に立ったということであり,引いては多くの患者の福音につながったということであろう。
 さて,著者の岡本平次先生は1948年のお生まれで,当年53歳と脂の乗り切ったコロノスコピストであり,有名な新谷弘実先生の愛弟子の1人である。岡本先生は開業前の一時期,東海大学医学部外科学講師として勤務しておられたこともあり,私自身も家内も,また,大切な患者さんたちも先生に定期的に検査をしていただいているとともに,教室員が何人も直接指導を受けている。中には岡本平次の直弟子を名乗る向井正哉や,ついにクリニックに勤務してしまった田口貴子もいるわけである。先生は技術の人であり,そのライブデモンストレーションは100回におよび,特徴あるヒゲと人なつっこい丸い目,独特な語り口を,コロノスコピストで知らないものはないであろう。

◆初心者に大腸内視鏡の実施意欲をかき立ててくれる内容

 さて,本書は“一人法によるトータルコロノスコピー”のすべてが記されている。まず「前処置」から始まり,「どうしたら苦痛なく短時間で盲腸まで挿入できるか」,「どこに困難部位があるのか」,「通常と異なる高等テクニックと補助手段」などが書かれている。ここを読むと,すぐにでも内視鏡がスムーズに挿入できるような気がするから不思議である。初心者に大腸内視鏡をやってみたいと思わせるものがある。特に「高齢者での注意点」は,高齢者がいちじるしく増加している昨今,大いに参考になる。「前処置・前投薬の注意点」に始まり,「施行中の循環動態の見分け方」,「スコープの選択」,「助手のあり方」など詳述されている。細心の注意を払わなければ落とし穴が口を開けていることがよく理解できるとともに,その「留意点7か条」を守って上手にやってみようとのファイトもかき立ててくれる。また,内視鏡の進め方の1つに,車での山道走行に例えての記述もあり,「きつい急カーブの続く山道は急ハンドルを避け,直線的に最短コースを走れ」ということなど,一度読むと忘れられない憶えやすい書き方がなされている。偶発症についても自らの経験を通して記述されていて,思わず引き込まれて読み進んでしまう。どうしたら予防ができるか,不幸にも起こしてしまったら,「黄玉」がみえてしまったらどうするか,循環器系,呼吸器系合併症の記述も具体的である。内視鏡医自身のケアの項も興味を引くところであり,他にない特徴であろう。A型性格についてなど,小生自身を振り返っても身につまされるところがある。最後のQ&Aも,著者が実際に受けた質問の中から重要なものを選び出したもので,大変参考になる。

◆楽しく読めて勉強できる「栄光のコロノスコピストへの道」

 とにかく読み出したら引き込まれて止まらなくなる。楽しく読めて勉強できる。著者の語り口のうまさ,臨場感あふれる文章は,とてつもなく多数の,いや,右中指MP関節脱臼を起こさせるほど多数の臨床例と,これまた多くの講演,ライブデモンストレーションに裏打ちされたものである。本書の読後には,天才岡本に数歩とも近づけるであろうし,「栄光のコロノスコピストへの道」を歩き出すことができるものと確信している。

コロノスコピーを通じての「内視鏡道」を提唱
書評者: 武藤 徹一郎 (癌研究会附属病院長)
 大腸内視鏡検査(コロノスコピー)が始められた頃,誰が現在の状況を予想したであろうか。コロノスコピーによらず,数々のテクノロジーの進歩に伴う医療の変化には驚くばかりである。そして,1970年ロンドンのセント・マーク病院でコロノスコピーを行なったことを思い出している。その器械は70cm,アングルは2方向に120°ぐらいしか曲がらず吸引も内蔵していない代物で,最新のビデオスコープと比べたらとても内視鏡とは呼べない性能しかなかったが,注腸造影で見落とされたS状結腸癌を発見するくらいの働きはしたのである。その後,ずっとましな機能を有する長いスコープを入手して,プッシュするだけの検査を行なっていたが,帰国途中に当時からすでに高名な新谷博士の引き技と回転技に接し,目からウロコが落ちたことを鮮明に思い出す。

◆見事なコロノスコピーの定本

 本書の著者,岡本平次博士はその新谷博士の元へ留学され,その技術の粋を学びかつ盗みとって,帰国以来,コロノスコピー一筋に活躍を続けている,この道の超専門家であることはつとに知られている。当時,学会では1人法,新谷法の強力な推進者であるとともに,盲腸までの到達時間○分○秒,到達率○%という記録を更新することでわれわれをつねに驚かせていた。確かに,コロノスコピーは盲腸まで挿入できなければ話が始まらない。しかし,挿入することだけが目的ではなく,疾患と病変に応じて検査の目的が異なることが,コロノスコピーの難しさでありおもしろさであろう。従来のコロノスコピーの成書は,ややもすると技術あるいは疾患に偏重したものが多かったが,本書は実によく両者のバランスがとれていることが特徴である。
 それにしても,見事な本ができたものである。岡本博士と言えば,電光石火のごとく速いコロノスコピストという印象ばかりが強かったが,これは大変な誤解で,コロノスコピー全般,ポリープの取扱いの達人であり,あとがきでも述べられているように,その経験を通して世の中,社会の全体が見えてくる域に達した人である。著者は,これをコロノスコピーを通じての「内視鏡道」と提唱している。

◆自然流コロノスコピーの勧め

 本書の優れた特徴をあげればきりがないが,まとめてみれば以下のごとくである。
 (1)すべて自らの経験に基づいて自らの言葉で述べられているので,わかりやすく説得力がある。
 (2)カラー写真とそれを補う適切なシェーマが多種多様にわたっており,理解を助けている。特に合併症の写真は,大変示唆に富んでいる。
 (3)21章からなる本書の隅々にわたって,コロノスコピー,ポリペクトミー,EMRにおける手技,患者,標本取り扱いに関する注意事項が詳細に,わかりやすく述べられている。
 著者は,「自然流コロノスコピー」を勧めており,決して自己流を押しつけようとはしていない。Burning effectを考慮した摘除法(80%切除法)や,5mm以下のポリープの取り扱い方についても,拡大内視鏡などを持ち出さずに日常診療の中で常識的に対処する方策を述べている。内視鏡医自身のケア,インフォームドコンセント,無床診療所におけるコロノスコピーについてまで述べられているのは,驚きと同時に著者のきめの細かい配慮に敬服の念を禁じえない。最後にあるQ&Aがまた適切で,多くの初心者が抱いているであろう疑問に見事に答えてくれている。初心者はまずここから読み始めるのがよいだろう
 本書は,まさにプラクティカルコロノスコピーの座右の書となる名著である。内視鏡道に達することなく引退してしまった筆者にも,“もう一度”という気を起こさせる気迫と内容に満ちた成書であり,すべてのコロノスコピストにお勧めしたい。

著者の一徹さが汲み取れる名著の改訂
書評者: 多田 正大 (多田消化器クリニック院長)
 大腸内視鏡検査・治療に伴う合併症が増加している。4-5日に1回の割合で日本のどこかの病院で,腸管穿孔が発生している(宇野良治:医器学,67;289,1997)とのことであるが,穿孔まで至らないにせよ,女性患者が検査中の腹痛はお産よりも辛いと訴えることも稀ではない。

◆岡本名人の裏技を余すところなく記載

 このような苦痛の多い検査を安全で普遍的なものに変革したいという一念で,コロノスコピー名人として類稀な才能を有する岡本平次先生は,1995年に労作『プラクティカル コロノスコピー』を刊行した。この書籍は,挿入法についての系統的な記述書が少なかった時代にあって,初心者にとってはわかりやすい手引き書として,ベテランにはShinya氏の提唱する1人操作法を理解するための指標として,多くのコロノスコピストに愛読されてきた。名人は,自分の裏技を他人に伝授することを好まないものである。また,必ずしも教え上手であるとは限らない。しかし岡本名人は,本書の中に裏技を余すところなく記載し,しかも理解しやすい文章で,読者に大変好評であったと聞いている。
 岡本先生の提唱する挿入手技の基本そのものは,本書が刊行された6年前も今も変わるものではない。したがって,書籍が完売すれば,その都度増刷しておれば執筆者としての責任は果される。しかし最先端を走るパイオニアとしての意地からであろう。あえて自らの名著に加筆して改訂版を発行したのが本書である。新しい書籍にせずに,改訂版としたところに岡本先生の一徹さを汲み取ることができる。

◆コロノスコピーの真髄に一歩近づくことができる期待感

 第1版のどこが変わったのであろうか。同じような表紙の新旧の書籍を並べてみるとすぐに理解できる。第2版では,単にファイバースコープの写真が電子内視鏡像にリニューアルされただけではない。目次の項目は新旧でほぼ同じであるが,記述内容は大きく改変されており,その結果,書籍のボリュームも増加している。インフォームド・コンセント,検査前準備などの項は,昨今の医療紛争にも対応できる内容に改変されている。無床診療所で安全に日帰り検査・内視鏡治療を行なうには,どうすればよいのかなどなど,大腸内視鏡検査が大病院で行なう特殊検査ではなく,一般病院や診療所でも安全に行なえるルーチン検査であることを教えてくれる。挿入法の第一人者が,豊富な臨床経験に立脚して執筆した文章であるので説得力がある。随所に大腸内視鏡に関する伝導師として,筆者の篤い思想が語られており好感が持てる。
 したがって,第2版といえども内容は大幅に改稿されており,新しい書籍が完成したと言っても過言ではない。第1版を読んだ人が第2版を購読しても,決して損をしないだけの充実した内容になっている。序文には,筆者の18年前のライブのスナップ写真が掲載されており,型破りな序文に驚かされるが,それほど筆者の意思が前面に強く出ている本書を読めばコロノスコピーの真髄に一歩近づくことができるような期待を感じることができる。初心者にもベテランにも,読み甲斐のあるお勧めの1冊である。

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