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開業医のための呼吸器クリニック

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呼吸器診療に関する最新の知識を整理し,開業医の守備範囲を明確に示しながら,限られた医療機器と薬剤で患者をどのように診断,治療していくかを,著者の40年にわたる豊富な臨床経験に基づいて,具体的に記述した書。
谷本 普一
発行 2003年04月判型:A5頁:272
ISBN 978-4-260-10283-4
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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  • 目次
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I. 患者の評価
 A. 問診のポイント-自覚症状からのアプローチ
 B. 診察のポイント-呼吸器疾患の身体所見
 C. 外来で行う検査のポイント
II. 各種呼吸器疾患の外来診療のポイント
 A. 呼吸器感染症
 B. 気道閉塞性疾患
 C. 拘束性障害を呈する疾患
 D. アレルギー性肺疾患
 E. 間質性肺疾患
 F. 循環系肺疾患
 G. 肺癌(原発性肺癌)
 H. その他の疾患
III. リハビリテーションと在宅酸素療法
 A. 呼吸器疾患におけるリハビリテーション
  (呼吸リハビリテーション)
 B. 在宅酸素療法(HOT)
文献
索引

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40年の経験が裏付ける呼吸器診療の臨床知
書評者: 阿部 正和 (慈恵医大名誉教授)
◆谷本氏と私

 1988年の初頭,私は当時虎の門病院呼吸器科部長の任にあった谷本普一氏への面会を求めて病院を訪れた。私自身,呼吸器疾患についての知識も術も乏しく,慈恵医大の呼吸器科も貧弱であったので谷本氏を慈恵に迎えて教示を願いたいと考えたのであった。

 私がかねてから谷本氏に注目していたのは,次の3点からであった。第1に,氏がわが国における呼吸器病臨床の第一人者である本間日臣氏の協力者であり,そのお手並みを本間氏からよく聞かされていたこと,第2に,氏の人柄がよく,いつも謙虚で,しかも真の臨床医家であること,そして第3に,定年退任を間近に控えておられることであった。

 わずか20分足らず,谷本氏と面談している間に,この人こそ慈恵の教授に相応しい人物であると私は直感した。氏は,「しばらく考えさせてください。」と言いながら前向きに応対してくれた。それからわずか旬日を経ずして「承諾」の返答を得たのだ。「慈恵医大の谷本教授」が実現した日である。嬉しかった。

 以来5年間,氏は慈恵の呼吸器内科確立のために尽力してくれた。若い医師に呼吸器疾患患者の診療の術のみならず,臨床家としてのあるべき姿を示してくれた。感謝に堪えない。

◆40年の臨床知をビジュアルな構成で見せる

 この谷本氏が,このたび呼吸器疾患専門医としての40年間の豊かな臨床経験を基礎にして「開業医のための呼吸器クリニック」と題する本を刊行されたのである。私自身は,本書の専門的内容について論評する資格はない。しかし,直接御本人から書評の依頼を受けたので,あえて本書についての私の所感を述べる次第である。

 本書は272頁の小冊子であるが,内容はきわめて豊かである。至るところで表と図および写真が活用されている。94の表,120の図が縦横に駆使されて読者の理解を助けている。特に注目すべき点は,今の時代に失われつつある問診と身体的所見を診ることの重要性が強調されていることである。さらに胸部X線写真1枚1枚についての深い読影の術,呼吸機能の検査,動脈血のガス分析に至るまで,外来診療で活用できる範囲で,手にとるようにわかりやすく解説されている。そして,各種呼吸器疾患の外来診療のポイントと続き,最後にリハビリテーションと在宅酸素療法で締めくくられている。いかにも谷本氏らしい著書であり,巧みな筆致に感服した次第である。

◆変わる呼吸器診療

 著者は,「まえがき」で呼吸器専門医としての40年の経験から,難治とされてきた多くの疾患の治療が1970年を境にして急速に進歩発展してきたこと,今では多くの患者が外来治療で治癒ないしは症状の改善をみるようになったと感慨深く述べている。20世紀後期の医学の勝利とさえ声高らかに,誇らしげに語っている。著者の顔に微笑みが浮かぶようになったという,その顔がまるで目にみえるようである。

 開業医の方々はもとより,これから呼吸器科への道を歩み出そうと志している若い医師たちの必読の書であることは疑いない。
世界に通用する,体系的な日本の臨床呼吸器病学テキスト
書評者: 宮城 征四郎 (臨床研修病院群プロジェクト「群星沖縄」研修センター長)
◆臨床呼吸器病学の大家による開業医向けテキスト

 本邦における臨床呼吸器病学の第一人者として,日頃,私が敬愛している谷本普一先生が,この度,表題の開業医向けのテキストを上梓された。

 虎の門病院呼吸器科部長,慈恵医科大学第4内科教授を経て,10年前に呼吸器クリニックを開業され,大成功を収めておられる実績を抜きにしては本書について語ることは出来ない。

 個人的には前職の沖縄県立中部病院で私が呼吸器科部長の頃,谷本先生に沖縄の地までお運び頂き,1週間にわたって回診や臨床講義を通じて呼吸器病学のなんたるかをご教示頂いた間柄であり,その縁で私が中心となって結成している全国ウフイーチ会の名誉会員のお1人でもあられる。

 同様な形で沖縄の私達にご教授に来られた名誉会員の中には,故本間日臣先生,故鈴木明先生,吉良枝郎先生など錚々たる呼吸器病学の大家達が含まれているので,いかに私が当時から谷本先生を敬愛していたかがお分かり頂けると思う。

 general pulmonologistを目指して生涯教育に励んで来た私にとって,谷本先生は常に憧れであり,目標でもあった。

 その谷本先生が大学教授を定年ご退官の後,約10年にわたる呼吸器疾患を中心とした開業医としての臨床の蘊蓄を傾けて,表題のテキストを上梓されたことは,私にとって大きな驚きであると共にまた大きな喜びであり,既に同様に定年を迎えた現段階での私にある種の示唆を与えてくれるものである。

 本書を一読して感ずることは,著者が根っからの臨床家であり,自らが知悉しておられる事実を,全てご自身のわかりやすい言葉のみで語り,かつ,日本の医療風土を極めて大切にしておられるという点である。

 したがって読みやすく,あたかも随筆などでも読むかのような気安さで読み進むことができる。

◆日本の医療文化にこだわった内容

 グロバリゼーションが声高に叫ばれ,グローバルスタンダードの臨床医療の重要性が取り沙汰される中にあって,本書は終始,日本の医療文化にこだわり,日本人という人種,民族にこだわった医療の在り方を模索されておられる。

 先生ご自身の自験例やお仲間との臨床共同研究の実際を全面に出され,世界にも当然通用する日本の臨床呼吸器病学を体系付けておられる。

 長年,真摯に患者に向き合って,日々,真剣に取り組んで来られた臨床体験がなければ到底,記載が不可能と思われる内容に満ち満ちている。

 特に挿入されている図や表の大部分がその典型であり,どこかの教科書や文献から引用されたものではない。ご自分の臨床経験の中から頻度順に整理され,呼吸器クリニックを開業されておられる諸先生とシェアーすべき知識として整理されている。開業医のみならず,一般臨床をご開業の諸先生,勤務医,さらには病棟で呻吟する研修医達にとっても大変参考になる良書であり,全ての専門分野でこの様な臨床教則本が世に出てほしいと願うものである。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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