標準組織学 総論 第4版
すべての医学生・歯科学生必読! 学ぶ楽しみが味わえる本
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学生にわかりやすく,読んで面白く楽しい組織学教科書を目指して,著者が改訂のたびに記述の細部にまでわたって推敲を重ね,書き直し続けて第4版に至った。最近の生命科学の進歩による新しい知見,細胞骨格,受容体,アポトーシス,細胞分化,幹細胞,シナプスなどについて学生に必要な知識を詳細に解説。多数の顕微鏡写真・線画のカラー化を図り,理解しやすくなった。
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I. 組織学の研究法
II. 細胞
III. 組織の概念
IV. 上皮組織
V. 支持組織
VI. 血液,リンパおよび組織液
VII. 筋組織
VIII. 神経組織
II. 細胞
III. 組織の概念
IV. 上皮組織
V. 支持組織
VI. 血液,リンパおよび組織液
VII. 筋組織
VIII. 神経組織
書評
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一目瞭然,組織学総論の到達点を見事に集約
書評者: 山科 正平 (北里大教授・解剖学)
お2人の藤田名誉教授による『標準組織学総論』が14年ぶりに大改訂されて,第4版として登場した。第3版と比較しながら頁をめくると,この間に組織学の内容がいかに豊富になったかが一目瞭然となる。
◆組織学総論の全貌が俯瞰できる
遺伝子組織化学,一群のニューマイクロスコープ,アポトーシスといった,新たに導入された技術や概念が細大漏らさず組み込まれ,また多数の図についても最新の情報を盛り込んだ改変が行なわれた。特に結合組織や血球の項では,免疫学の発展に呼応した大幅な改変が施されているが,幹細胞についての新しい記載も随所に見ることができる。その他にも多くの新たな用語や解説が加わって,21世紀初頭の組織学総論の全貌を俯瞰できるものへと見事な衣替えが施されている。躍動著しい生命科学の趨勢を的確に掌握し,膨大な情報を取捨選択の上,現時点における到達点を集約して改訂をなされた著者には,深い敬意を払いたい。
もともと本書は,発見にまつわるエピソードや日本人の業績も多く紹介されていて,楽しみながら読める書物であったが,それに加えて学問的にも芸術的にも見事な写真シェーマを多彩に活用することによって,視覚的な理解と関心を促すところに大きな特色を有していた。今度の改訂でも新たな発見がいくつも追加されたばかりか,科学写真としては最高レベルにある多数の新しい写真の追加に図版のカラー化も行なわれ,この特色がさらに一層強調されている。また,見出しの直後に追加された数行の解説,項目分けの変更,意味合いのはっきりしてきた用語をゴチックに変えるなどの改訂により,読者の理解を飛躍的に助ける効果が生まれた項目も多い。
本書のもう1つの特色は,非常にたくさんの文献がリストされていることである。そのため,何かの調査にあたっては,まずこれに目を通すのが最も手っ取り早い。今度の改訂でもさらに膨大な数が追加されているため,その利用度が飛躍的に増加したことは言うまでもない。組織学を学ぶ方はもとより,生命体の構造や機能にいささかなりとも関心を寄せる方たちは,どうしても本書を座右におく必要があり,今度の改訂によってその位置がさらに一層明確となった。
◆次世代に伝えたい学問の到達点
これだけ内容が充実したにもかかわらず,総頁数は10%ほどの増加にとどまっている。若干の削除に加えて,図版のレイアウトを変えるなどの工夫により,余白を大幅に少なくしたあたりにその秘密があるようである。
かくして,組織学を体系として解説する書物が装いを一変させた,まさにその折り,医学教育の現場からは“―ology”が捨て去られようとしている。また,活字離れの傾向は医学生も着実に定着して,本書の「総論」,「各論」編2冊を読みこなすことは相当な負担になっているようである。書名にある「標準」の意味がすっかり変わってきたと言わざるを得ない。それにもかかわらず,「各論」編の新装を鶴首して待ちたい。風潮に流されることなく学問の到達点を次世代に伝えるには,書物として残すほかにはなく,本書の両編がその役に最もふさわしいと考えるからである。
時代を超え組織学の大道を示す教科書
書評者: 井出 千束 (京大大学院教授・生体構造医学)
「標準組織学 総論」が改訂され,第4版として発行された。われわれの間で「標準」といえば,この教科書を指すといわれるほど名前で通っている教科書で,恐らく日本でもっとも広く使われている組織学教科書であろう。
◆生き生きと魅力的に記載された最新の組織学
著者らの序文にもあるとおり,1975年の初版以来,これまで2回の改訂が行なわれてきた。
今回の改訂は,第3版の発行以来14年になる。生命科学が膨大な領域を占めるにしたがい,組織学教科書に何を取り入れるかの取捨選択が次第に難しくなっている。そうした中で,この教科書は,常に組織学の大道を示す教科書としての評価を得てきた。この教科書が高い評価と長い寿命を誇っているのは,新しい多様な研究成果の中からつねに適切な内容が選択され,詳しい明解な解説がなされているためであろう。形態学は古いというように思われがちであるが,この本では形態学が生き生きと魅力的に記載され,組織学が生きた学問であり,生きた領域であることを教えてくれる。豊富な知見を盛り込みながらも単なる知識の伝達ではなく,組織学がこれから発展する領域であるという予感を与える教科書である。ここに,著者らの形態学に対する高い識見を見る思いがする。
今回の改訂で新たに加えられた内容としては,
研究法:新しい顕微鏡である原子間力顕微鏡の写真と解説,および共焦点レーザー顕微鏡の解説。
細胞:詳しい細胞死の記述。ネクローシスとアポトーシスの対比,および小腸上皮の細胞死の写真,細胞死の命名者の写真と命名の由来など。マクロファージの赤血球取り込みの写真は説得力がある。
結合組織:免疫系,特に樹状細胞の解説は特筆すべきである。樹状細胞の形態と機能の解説は,一般の医学関係者にも参考になろう。走査電顕で見た細胞線維や弾性線維。
骨:骨組織の形態,基質小胞,コラーゲン線維の石灰化,破骨細胞の電顕像,および滑膜細胞。
筋:コネクチンフィラメントの解説。
神経:シナプスの形態が詳しくなり,光顕による3種類のグリア細胞形態。
◆日本の組織学の発展の指標
この教科書の特徴の1つは,実に多くの日本の研究者の研究成果が取り入れられ,彼らの代表的な写真がのせられていることであろう。そのためこの教科書は,日本の組織学の発展の指標ともいえる。これは,著者らの不断の注意と組織学に対する深い見識がなければできることではない。
最近の学生は,簡単な教科書を選ぶ傾向にあり,組織学の十分な知識も骨組みも身につかないまま終わるという場合がある。学生が将来医学の知識を構築していくためには,しっかりした組織学の骨組みが身についている必要がある。講義の内容以上に出ない教科書は,教科書の役目をはたさないわけで,学生にはこの教科書のような豊富な内容を備えた教科書で勉強して欲しいと思う。この教科書は,将来専門に進んでも常に座右において参照できる参考書である。また,豊富な文献が盛り込まれている点もこの教科書の特徴で,単に学生のための教科書にとどまらず,医学を含めた一般の生命科学の関係者に広く推薦したい本である。
書評者: 山科 正平 (北里大教授・解剖学)
お2人の藤田名誉教授による『標準組織学総論』が14年ぶりに大改訂されて,第4版として登場した。第3版と比較しながら頁をめくると,この間に組織学の内容がいかに豊富になったかが一目瞭然となる。
◆組織学総論の全貌が俯瞰できる
遺伝子組織化学,一群のニューマイクロスコープ,アポトーシスといった,新たに導入された技術や概念が細大漏らさず組み込まれ,また多数の図についても最新の情報を盛り込んだ改変が行なわれた。特に結合組織や血球の項では,免疫学の発展に呼応した大幅な改変が施されているが,幹細胞についての新しい記載も随所に見ることができる。その他にも多くの新たな用語や解説が加わって,21世紀初頭の組織学総論の全貌を俯瞰できるものへと見事な衣替えが施されている。躍動著しい生命科学の趨勢を的確に掌握し,膨大な情報を取捨選択の上,現時点における到達点を集約して改訂をなされた著者には,深い敬意を払いたい。
もともと本書は,発見にまつわるエピソードや日本人の業績も多く紹介されていて,楽しみながら読める書物であったが,それに加えて学問的にも芸術的にも見事な写真シェーマを多彩に活用することによって,視覚的な理解と関心を促すところに大きな特色を有していた。今度の改訂でも新たな発見がいくつも追加されたばかりか,科学写真としては最高レベルにある多数の新しい写真の追加に図版のカラー化も行なわれ,この特色がさらに一層強調されている。また,見出しの直後に追加された数行の解説,項目分けの変更,意味合いのはっきりしてきた用語をゴチックに変えるなどの改訂により,読者の理解を飛躍的に助ける効果が生まれた項目も多い。
本書のもう1つの特色は,非常にたくさんの文献がリストされていることである。そのため,何かの調査にあたっては,まずこれに目を通すのが最も手っ取り早い。今度の改訂でもさらに膨大な数が追加されているため,その利用度が飛躍的に増加したことは言うまでもない。組織学を学ぶ方はもとより,生命体の構造や機能にいささかなりとも関心を寄せる方たちは,どうしても本書を座右におく必要があり,今度の改訂によってその位置がさらに一層明確となった。
◆次世代に伝えたい学問の到達点
これだけ内容が充実したにもかかわらず,総頁数は10%ほどの増加にとどまっている。若干の削除に加えて,図版のレイアウトを変えるなどの工夫により,余白を大幅に少なくしたあたりにその秘密があるようである。
かくして,組織学を体系として解説する書物が装いを一変させた,まさにその折り,医学教育の現場からは“―ology”が捨て去られようとしている。また,活字離れの傾向は医学生も着実に定着して,本書の「総論」,「各論」編2冊を読みこなすことは相当な負担になっているようである。書名にある「標準」の意味がすっかり変わってきたと言わざるを得ない。それにもかかわらず,「各論」編の新装を鶴首して待ちたい。風潮に流されることなく学問の到達点を次世代に伝えるには,書物として残すほかにはなく,本書の両編がその役に最もふさわしいと考えるからである。
時代を超え組織学の大道を示す教科書
書評者: 井出 千束 (京大大学院教授・生体構造医学)
「標準組織学 総論」が改訂され,第4版として発行された。われわれの間で「標準」といえば,この教科書を指すといわれるほど名前で通っている教科書で,恐らく日本でもっとも広く使われている組織学教科書であろう。
◆生き生きと魅力的に記載された最新の組織学
著者らの序文にもあるとおり,1975年の初版以来,これまで2回の改訂が行なわれてきた。
今回の改訂は,第3版の発行以来14年になる。生命科学が膨大な領域を占めるにしたがい,組織学教科書に何を取り入れるかの取捨選択が次第に難しくなっている。そうした中で,この教科書は,常に組織学の大道を示す教科書としての評価を得てきた。この教科書が高い評価と長い寿命を誇っているのは,新しい多様な研究成果の中からつねに適切な内容が選択され,詳しい明解な解説がなされているためであろう。形態学は古いというように思われがちであるが,この本では形態学が生き生きと魅力的に記載され,組織学が生きた学問であり,生きた領域であることを教えてくれる。豊富な知見を盛り込みながらも単なる知識の伝達ではなく,組織学がこれから発展する領域であるという予感を与える教科書である。ここに,著者らの形態学に対する高い識見を見る思いがする。
今回の改訂で新たに加えられた内容としては,
研究法:新しい顕微鏡である原子間力顕微鏡の写真と解説,および共焦点レーザー顕微鏡の解説。
細胞:詳しい細胞死の記述。ネクローシスとアポトーシスの対比,および小腸上皮の細胞死の写真,細胞死の命名者の写真と命名の由来など。マクロファージの赤血球取り込みの写真は説得力がある。
結合組織:免疫系,特に樹状細胞の解説は特筆すべきである。樹状細胞の形態と機能の解説は,一般の医学関係者にも参考になろう。走査電顕で見た細胞線維や弾性線維。
骨:骨組織の形態,基質小胞,コラーゲン線維の石灰化,破骨細胞の電顕像,および滑膜細胞。
筋:コネクチンフィラメントの解説。
神経:シナプスの形態が詳しくなり,光顕による3種類のグリア細胞形態。
◆日本の組織学の発展の指標
この教科書の特徴の1つは,実に多くの日本の研究者の研究成果が取り入れられ,彼らの代表的な写真がのせられていることであろう。そのためこの教科書は,日本の組織学の発展の指標ともいえる。これは,著者らの不断の注意と組織学に対する深い見識がなければできることではない。
最近の学生は,簡単な教科書を選ぶ傾向にあり,組織学の十分な知識も骨組みも身につかないまま終わるという場合がある。学生が将来医学の知識を構築していくためには,しっかりした組織学の骨組みが身についている必要がある。講義の内容以上に出ない教科書は,教科書の役目をはたさないわけで,学生にはこの教科書のような豊富な内容を備えた教科書で勉強して欲しいと思う。この教科書は,将来専門に進んでも常に座右において参照できる参考書である。また,豊富な文献が盛り込まれている点もこの教科書の特徴で,単に学生のための教科書にとどまらず,医学を含めた一般の生命科学の関係者に広く推薦したい本である。
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