• HOME
  • 書籍
  • 心エコー・ドプラ法の臨床 第2版


心エコー・ドプラ法の臨床 第2版

もっと見る

心エコー・ドプラ法から得られる種々の情報から,どのように循環器疾患の病態の本質に迫っていくべきか―臨床医としての思考過程を最も大切にしながら,本書はまとめられた。第2版では,ドプラ法の記載を充実させ,先天性心疾患を詳細に記述するとともに,診断のみでなく,治療に対する指針としての本法の役割についても言及した。
編集 大木 崇
大木 崇 / 森 一博 / 若槻 哲三 / 山田 博胤 / 福田 信夫
発行 2001年09月判型:B5頁:472
ISBN 978-4-260-11984-9
定価 20,900円 (本体19,000円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 目次
  • 書評

開く

第1章 心エコー・ドプラ法の基礎的事項 
第2章 心エコー・ドプラ図記録の実際 
第3章 各種心疾患の心エコー・ドプラ所見
 I 後天性弁膜疾患
 II その他の後天性心疾患
 III 先天性心疾患
 IV 心不全
 V 不整脈

開く

再認識する必要がある心エコー・ドプラ法
書評者: 吉川 純一 (大阪市立大学院教授・循環器病態内科学)
 大木崇先生の編著による『心エコー・ドプラ法の臨床』第2版を目の前にして,編著者の心エコー図にかけるなみなみならぬ情熱が伝わってきます。大木先生と私とは,古くは心音図学に傾注し,続いて登場した心エコー図に熱意を燃やし,今も燃やし続けるよき仲間であります。私たちの共通の理解は,心エコー図が類まれなる優れた臨床検査手段であり,したがって,私たちは,本法を用いて数々の疾患の診断を正確に行なうことに嬉々とし,さらに病態を解明することにも情熱を傾けてきました。
 さて,この心エコー図を臨床で駆使するためには,一定の知識と技術が必要なことは言うまでもありません。そのために最も近道なのは,まず的確な教科書を選ぶことにあると考えます。このテキストが,第1版と比べてまったく違う点はテキストの中の図が一新され,きわめて美しいイメージで統一されているところです。ドプラ心エコー図は,第1版からとても素適で,第2版も優れた記録から構成されています。さらに,読者の理解を深めるために,美しいシェーマが随所に配置されています。また,必要に応じてMモード心エコー図も掲載されております。私が,こんなところにこだわる理由は,優れたテキスト,特に画像診断のそれは,美しい図で構成されるべきだという信念を持っているからです。解説も平易で正確です。若い先生方には,このようなテキストで勉強してもらうのが最良と考えます。

◆求められる心エコー図のさらなる普及

 しかし,優れた教科書としては,上記のことを満足するだけでは十分ではありません。編集責任者や著者のフィロソフィーというか,考えが込められているものであるべきだと考えています。さて,大木先生の考えとは何であろうか,ということになります。序文の中で,大木先生は,「心エコー・ドプラ法は多くの循環器検査法の中でも形態および血行動態異常の両者に関する情報が,非観血的かついとも簡単に手に入る数少ない手技であり,われわれはこの利点をもう一度再確認する必要がある。循環器疾患の病態を診断する作業の中で,未知なるものに対して真実を探究することにロマンを抱くことは,科学者あるいは真の臨床医をめざす者にとって不可欠な資質であります」と述べております。真に,そのとおりであります。私もまったく同じ考えでおります。このようなコンセプトをもった本書が,多くの読者に愛され,心エコー図がどんどん普及することを願ってやみません。

心エコー図を通して疾患に迫る思考過程を開陳
書評者: 坂本 二哉 (日本心臓病学会「Journal of Cardiology」創立編集長)
 大木君のこの本は第2版である。第1版(1987年)の書評を私が書いたことは確かだが,その内容は手許になく,具体的なことは残念ながら記憶から去ってしまった。しかし,良い本だと思ったことは事実で,洛陽の紙価を高めることを望むと書いたような気がする。つまり,よく読まれて紙の値段が高くなるという意味である。さて,激動する超音波医学を反映して,この13年の間にどれだけ内容が変わったか,興味津々,頁を繰ってみた。

◆目覚ましい心エコー図方法論の進歩

 実際,この本の初版と第2版との間に起こった心エコー図方法論の進歩はまことに目覚ましい。初版では僅か8頁の第1章(基礎的事項)が30頁にも拡大し,経食道心エコー・ドプラ法,ハーモニックイメージング法,コントラスト心エコー法,ストレス心エコー法,血管内エコー法,ドプラガイドワイヤ法に到るまでの方法論が要領よくまとめられている。現在,心エコー図に親しんでいる人は,使用している機械の性能いかんにかかわらず,この位の知識を持っている必要があろう。
 第2章(心エコー・ドプラ図記録の実際)は紙幅の割りには内容がよりup-to-dateとなり,挿図も取り替えられて,より美しくなっている(図形学では美麗な図を得ることが何を措いても重要である)。著者はこれらの記述の中において,単に診断機器による方法論の進歩に力点を置くよりは,常にそれらによって何をいかにして導き出すかについて腐心している。これは我々を単なる“machine doctor(MD)”から本来の“medical doctor(MD)”に引き戻す上に大切なことである。
 第3章は各種心疾患に関する各論で,後天性弁膜症(85頁)に始まり,その他もろもろの後天性心疾患(10頁),先天性心疾患(138頁:この中には胎児心エコー法も含まれる)に到る。この章は文章よりも図(美しい図である)が豊富で,全体が非常に読みやすい。ただ,数カ月前に出された吉川純一著のテキストに比べれば,虚血性心疾患の項が著しく僅かである(17頁)。これはむしろ旧版のそれより短い位であるが,読んでみると過不足は全くない。臨床医はこれで足りるであろう。
 第4章,第5章は短いが,心不全と不整脈が扱われていて,新しいところでは閉塞性肥大型心筋症のペーシング治療にまで及んでいる。

◆著者の思い入れが伝わってくる好書

 文献は各章の最後に各疾患ごと,また旧版と異なり引用順に記載されており,参考に供する上に大変便利である。
 全体を通覧するに,本書は,簡潔だが必要不可欠の項は詳しく,全体が総花式になっていないこと,図が美麗で,分かりやすいように文字が入り,また模型図も適切で理解しやすいことなどから,心エコー図を通して疾患にいかに迫るかを考える上に絶好の書と言える。執筆に際しての著者の思い入れも伝わって来る好著である。広く推薦したい。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。