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≪標準理学療法学 専門分野≫

物理療法学


(第3版) (在庫なし)

シリーズ監修:奈良 勲
編集:網本 和

  • 判型 B5
  • 頁 328
  • 発行 2008年01月
  • 定価 5,076円 (本体4,700円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00486-2
「物理療法学における基本用語解説」が付いて、さらにわかりやすくなった
理学療法士を目指す学生に「物理療法」をわかりやすく解説した教科書。好評を博した第2版までの基本的な構成は踏襲しつつ、内容を刷新。第3版では新たに「物理療法学における基本用語解説」を巻末に付記し、初学者にも理解しやすい内容となるよう基本的な法則、現象などについて平易に解説している。
序 文
第3版 序
網本 和

 標準理学療法学シリーズ「物理療法学」の第2版が上梓されてから3度の秋が過ぎ新しい年を迎えようとする季節(とき)に,第3版を出版できるはこびとなった.この間には医療保険,介護保険に関する大幅な制度の見直しがなされ,理学療法士が提供する治療サービスについての...
第3版 序
網本 和

 標準理学療法学シリーズ「物理療法学」の第2版が上梓されてから3度の秋が過ぎ新しい年を迎えようとする季節(とき)に,第3版を出版できるはこびとなった.この間には医療保険,介護保険に関する大幅な制度の見直しがなされ,理学療法士が提供する治療サービスについての「エビデンス」がいっそう求められるようになった.それゆえ利用者(患者)への物理療法サービスの提供に際し,安全で効果的な方法への視点もまた欠くべからざる要件となったのである.
 一方で今日の少子化,大学全入時代の到来を背景とした「医療資格系」学部の大幅な増設・新設が,1学年1万人という理学療法士養成数の飛躍的増加をもたらしている現状では,その基礎的教育の意義はますます重要性を放つといってもよい.物理療法学の領域では,これまでの鎮痛に対するアプローチの進歩に加えて,認知機能に関する物理療法的適用など新しい展開がもたらされてきている.このように日々進化する医療技術と知識を適切に取り入れていくことは,基礎的教育はもちろん臨床的教育にとっても肝要なことであり,このことがこれまでの科学的蓄積を可及的に反映させた第3版を送り出すゆえんである.
 第3版では新たに「経頭蓋磁気刺激法」の項を追加した.比較的新しいこの方法についての基本的理解と適用について記述されており,現場でルーティンに使用されるというわけではないが,今後の発展が期待される領域である.また理学療法士学生の養成課程において学生自身の基本的な疑問に応えるべく,「物理療法学における基本用語解説」を巻末に付記した.専門家にとっては自明であるが,物理療法学を理解するための基本的な法則・現象などについて平易な解説を試みており,この用語解説を端緒としてさらなる学習へと進んでいただくことが狙いである.また今回の改訂では,基本的な章の構成は変更せず,いくつかの章と項目において執筆者の交代をお願いした.交代のご快諾をいただいた第2版までの執筆者の先生方には,これまでのご貢献に編者として深甚なる感謝を申し上げる次第である.
 いまだ変化を続ける医療技術のなかにあって,物理療法学もまた発展の途上にあるといえるのではないだろうか.新しい知識技術は不断の陳腐化にさらされており,この第3版がそのような変化に対応し,時代に堪えるかどうかは,むしろ読者の批判的教示にかかっている.読者諸賢のさらなる示唆によって,本書が「標準」の名にふさわしい実りあるテキストとなることが編者の変わらないねがいである.
 2007年 11月
書 評
  • エビデンスに基づいた物理療法学の最新テキスト
    書評者:杉本 諭(つくば国際大学医療保健学部理学療法学科教授)

     標準理学療法学シリーズの『物理療法学』が3年ぶりに改訂され,このたび第3版が出版された。理学療法の臨床現場において,牽引装置やホットパックをはじめとした物理療法機器を目にすることは多く,物理療法は運動療法とともに理学療法の両輪をなす治療法である。しかしながら昨今の医療保険制度の改定により,消炎鎮痛...
    エビデンスに基づいた物理療法学の最新テキスト
    書評者:杉本 諭(つくば国際大学医療保健学部理学療法学科教授)

     標準理学療法学シリーズの『物理療法学』が3年ぶりに改訂され,このたび第3版が出版された。理学療法の臨床現場において,牽引装置やホットパックをはじめとした物理療法機器を目にすることは多く,物理療法は運動療法とともに理学療法の両輪をなす治療法である。しかしながら昨今の医療保険制度の改定により,消炎鎮痛の保険点数の削減や運動療法の治療期間の制限の影響を受け,理学療法における物理療法の実施頻度は以前よりも少なくなっているように思われる。このような医療保険点数の削減は,全体的な医療費削減の流れによるものだけではなく,物理療法の治療効果に対する科学的根拠が少ないこと,物理療法機器が理学療法士以外の職種において実施されていることが多いことなども原因であろう。

     たとえば頸椎牽引の指示を医師から受けた際に,まずレントゲンや医師カルテによる傷害髄節レベルの確認,神経症状に関連した髄節レベルの予測などを行い,目的の頸椎に適するように牽引方向を考慮している理学療法士が,はたしてどのくらいいるのであろうか?「まずは温めながら,とりあえず軽めに引っ張って様子をみましょう」というように,機器の操作が可能であれば誰でもできるような治療を行った経験のある者は多いのではなかろうか?

     冒頭でも述べたように,物理療法は運動療法とともに理学療法の両輪をなす治療法であり,今後もそのことに変わりはないであろう。したがって使用する物理療法機器が,生体にどのような影響をもたらし,どのような治療効果が期待できるのかについて,科学的な根拠に基づいて治療に用いられなければならない。

     本書は牽引療法,水治療法,温熱療法,寒冷療法,電気療法,光線療法に章立てされ,各治療に用いられる物理療法機器の生理学的作用や治療効果について,文献や自験例を取り入れながら,可能なかぎり科学的根拠をもとに説明されている。さらに最近の新しい治療法である「経頭蓋磁気刺激法」が追加され,基本的理解と適応について紹介されている。今後の臨床応用への発展が期待される領域であり,覚えておきたい知識の1つである。また特別な機器を使用せず,実施頻度の高いマッサージ療法について,その基本的な知識,治療効果および実際の方法について図説されており,臨床において非常に参考になるものであろう。

     このように本書は,これから理学療法士をめざす学生の標準的な理学療法学のテキストとして利用価値が高いのはもちろんであるが,すでに理学療法に従事している者にとっても,経験則で曖昧なまま行っていた物理療法の治療について,その方法や効果を再認識し,より適切な治療を行うための手がかりとして大いに参考となる一冊であろう。
  • 物理療法学のリファレンスとしても役立つ1冊
    書評者:望月 久(文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科教授)

     『標準理学療法学専門分野物理療法学』(以下,本書)の第3版が出版された。標準理学療法学シリーズは多くの理学療法士養成施設においてテキストとして採用されており,学生にとっては最初に理学療法全般にわたる知識を得る座右の書として,既卒の理学療法士にとっては現時点でのスタンダードな知識を確認するための信頼...
    物理療法学のリファレンスとしても役立つ1冊
    書評者:望月 久(文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科教授)

     『標準理学療法学専門分野物理療法学』(以下,本書)の第3版が出版された。標準理学療法学シリーズは多くの理学療法士養成施設においてテキストとして採用されており,学生にとっては最初に理学療法全般にわたる知識を得る座右の書として,既卒の理学療法士にとっては現時点でのスタンダードな知識を確認するための信頼できる情報源として,それぞれ重要な役割を果たしている。理学療法技術や科学の進歩,保健医療福祉分野の動向,学生や臨床家のニーズの変化に対応するため,本シリーズの適時の改訂は不可欠である。

     本書の第3版では,第6章VIの「経頭蓋磁気刺激法」と,付録として「物理療法学における基本用語解説」が新たに加筆された。経頭蓋磁気刺激法は1980年頃より脳神経機能の解明に使用され始めたもので,現在のところ治療目的の使用については研究的な段階である。直接脳神経を刺激するため,痙攣の誘発,一時的な健忘現象など安全性の問題があり,理学療法士が単独で評価や治療として対象者に適用できるものではないのが現状であろう。しかし,経頭蓋磁気刺激を用いた研究報告を理解し,今後,理学療法の研究・評価・治療に結び付けるためにも,タイムリーな追加と考えている。

     また付録として加わった用語解説では,物理療法に関連する用語26項目について説明があり,本文の理解について配慮されている。しかし理学療法士養成施設のテキストとしての使用を考えると,高校で物理をほとんど学習していない学生もおり,より基本的な用語も含めて,この用語解説のさらなる充実を期待したい。

     第3版では第2章の「牽引療法」,第4章IVの「極超短波療法」,第8章Iの「結合組織に対する徒手療法」において執筆者の変更があった。同じテーマであっても執筆者により内容の選定,概念の捉え方や説明の仕方に違いがあり,第2版と読み比べてみるのも内容の理解に役立つと思う。

     本書では,「電気診断とバイオフィードバック」「結合組織に対する徒手療法」「スポーツマッサージ」など,通常は物理療法に含まれない内容も記載されている。徒手的な方法により生体に力を加えること,電気的手段による診断,生体の物理量をフィードバック情報として利用し身体機能の改善を図ることも,広く捉えると物理刺激や情報の理学療法への応用と考えることもできる。このように,本書は物理療法に関する広範な内容を扱っており,物理療法のリファレンスとしても学校や職場の本棚に揃えておきたい1冊である。
目 次
第1章 物理療法の歴史と今後の課題・展望
第2章 牽引療法
第3章 水治療法
第4章 温熱療法
 I.熱物理学・温熱の生理学的作用
 II.ホットパック・パラフィン
 III.超音波療法
 IV.極超短波療法
第5章 寒冷療法
 I.寒冷療法の定義・歴史・分類
 II.生理学的作用
 III.寒冷療法の適応・禁忌・注意点
 IV.寒冷療法の実際
 V.極低温療法
第6章 電気療法
 I.原理と生理学的作用
 II.神経筋電気刺激/治療的電気刺激
 III.経皮的電気神経刺激(TENS)
 IV.機能的電気刺激(FES)
 V.電気診断とバイオフィードバック
 VI.経頭蓋磁気刺激法
第7章 光線療法
 I.光線療法の特徴と皮膚の生理機能
 II.紫外線療法
 III.赤外線療法
 IV.レーザー療法
第8章 マッサージ療法
 I.結合組織に対する徒手療法
 II.スポーツマッサージ
第9章 物理療法におけるリスク管理
第10章 症例別物理療法プログラムの実際
 I.腰痛症
 II.頸腕痛
 III.変形性関節症
 IV.切断
 V.関節リウマチ
 VI.浮腫
 VII.末梢神経麻痺
 VIII.痙性
付録 物理療法学における基本用語解説

索引