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ICD-10精神および行動の障害 

DCR研究用診断基準
(新訂版)

訳:中根 允文/岡崎 祐士/藤原 妙子/中根 秀之/針間 博彦

  • 判型 B6
  • 頁 256
  • 発行 2008年03月
  • 定価 4,860円 (本体4,500円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00529-6
ICD-10の研究者用診断基準の新訂版
WHOの国際的な精神科診断基準として世界中で用いられている『ICD-10精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン』(CDDG)の姉妹書。本書(DCR)は研究用として、より厳密に診断基準が定義されており、その基盤となった臨床概念などが記載されたCDDGと併せて用いられるべきもの。新訂版では、統合失調症関連用語、認知症関連用語、パーソナリティ障害関連用語など重要な訳語を変更し、全体的に訳文の見直しを行った(原書は未改訂)。
序 文
訳者の序
訳者代表 中根 允文

 世界保健機関(WHO)は1983年に国際疾病分類第10改訂版(ICD-10)準備会議をもち,1984年にその第一次試案,1986年に第二次試案,その後相次いで試案が提案され,1989年に最終案が公表されて,1990年にICD-10の勧告が出され...
訳者の序
訳者代表 中根 允文

 世界保健機関(WHO)は1983年に国際疾病分類第10改訂版(ICD-10)準備会議をもち,1984年にその第一次試案,1986年に第二次試案,その後相次いで試案が提案され,1989年に最終案が公表されて,1990年にICD-10の勧告が出された.結局1991年5月のWHO総会で可決採択され,1992年に入ってICD-10(英語版・フランス語版)の第I巻(基本分類表,内容の例示)が正式に出版された.日本国内では1995(平成7)年1月から「疾病,傷害及び死因の統計分類」として公的利用が始まった.
 精神医学分野をカバーする第V章(F)については,「中心分類」(国際疾病分類など)に対する「派生分類」の1つとして,日本を含む世界各国における有用性に関する実地調査の結果を得て,途中専門家会議をもつなどして詳細な分類内容が公開された.以来,ICD-10 Fへの関心は急速に高まり,独特の広がりを示すようになった.ICD-10のほとんどの章が単に疾患名を並べたものであるのに対して,「精神および行動の障害に関する分類」つまりICD-10Fは簡単な用語集(Short Glossary)だけでなく,「臨床記述と診断ガイドライン(CDDG,通称ブルーブック)」および「研究用診断基準(DCR-10,通称グリーンブック)」までも公表したのである.ICD-10ファミリーが知られるなか,第V章についてだけはさらにプライマリーケア版(Primary Care Version),多軸記載方式(Multi-axial Presentation),語彙集(Fascicle and Lexicon),ICD-8/ICD-9などとの対照表(Crosswalks),あるいはICD-10他章との関連比較(ICD-10/PA/NA)などを含むことからICD-10 Fファミリーと呼称されている.
 1993年に発表された研究用診断基準(DCR-10)は,米国精神医学会(APA)の「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)」システムと対比される.APAは,同システム改訂のなかでDSM-III(1980)において初めてほとんどの疾患に操作的診断基準を呈示し,これは国際的に高い評価を受けて広く繁用されることになった.その動向が世界的なものになったことに鑑み,WHOも従来のICDシステム以上に特に研究における診断一致率の向上を目指して,APAとの度重なる協議をふまえて,CDDG公表から2年後にDCR-10として診断のための操作的基準を開発したのである.日本語版は1994年に公刊し,徐々に周知され利用度も高まってきた.
 2007年秋に入った頃から国際疾病分類の新たな改訂ICD-11への動きが徐々に表面化しているが,臨床現場で活用できるまでにはさらに相当の期間を要すると考えられる(WHOは2015年以降における各国での導入を暫定スケジュールとしている).したがって,先に発行されたCDDG新訂版と同様に近年呼称変更された診断名(統合失調症,認知症,パーソナリティ障害関連用語など)を取り入れ,合わせて初版の日本語訳を細かく見直して新訂版を出版することにした.新訂版では,長崎大学の中根秀之先生,東京都立松沢病院の針間博彦先生のお二人に新たに参加してチェックしてもらった.項目によっては,疾患概念などに関わる歴史的経過まで遡って考慮しつつ,きわめて入念に英語表記を検討したところもある.チェックの過程では,常にCDDGとの整合性に留意した.
 新訂された本書を基にさまざまな研究が今後も展開され,ICD-11への改訂に向けての国内におけるエビデンス蓄積に繋がることを期待する.不備や誤植を発見された場合は,遠慮無く指摘して連絡されることを希望したい.
 2008年2月
目 次
利用者のための注意事項
ICD-10第V章(F)および関連する診断評価法
診断カテゴリーのリスト
F00-F09 症状性を含む器質性精神障害
F10-F19 精神作用物質使用による精神および行動の障害
F20-F29 統合失調症,統合失調型障害および妄想性障害
F30-F39 気分(感情)障害
F40-F48 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害
F50-F59 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
F60-F69 成人のパーソナリティおよび行動の障害
F70-F79 精神遅滞[知的障害]
F80-F89 心理的発達の障害
F90-F98 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害
F99 特定不能の精神障害
研究のための診断基準
F00-F09 症状性を含む器質性精神障害
F10-F19 精神作用物質使用による精神および行動の障害
F20-F29 統合失調症,統合失調型障害および妄想性障害
F30-F39 気分(感情)障害
F40-F48 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害
F50-F59 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
F60-F69 成人のパーソナリティおよび行動の障害
F70-F79 精神遅滞[知的障害]
F80-F89 心理的発達の障害
F90-F98 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害
F99 特定不能の精神障害
付録1 特別な障害についての暫定的な診断基準
付録2 文化特異性障害
和文索引
欧文索引