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PT・OT・STのための 神経学レクチャーノート

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「難解な神経学、どこから勉強すればいいかわからない・・・」という悩みを解決するコメディカル向けテキスト。簡潔な文章で、今後の専門的学習に必要な基本知識を総まとめ。臨床で遭遇する機会の多い脳血管障害、神経外傷、頭蓋内腫瘍、脊椎・脊髄疾患を重点的に解説。
森 惟明
発行 2006年12月判型:B5頁:192
ISBN 978-4-260-00370-4
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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  • 目次
  • 書評

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第1章 神経学で対象とする疾患
第2章 神経の構造と機能
第3章 神経症候
第4章 神経学的診断法
第5章 神経学的検査法(補助診断法)
第6章 脳血管障害(脳卒中)
第7章 神経外傷
第8章 頭蓋内腫瘍(脳腫瘍)
第9章 脊椎・脊髄疾患
第10章 その他の神経疾患
第11章 神経疾患の治療法
第12章 神経学の知識の整理
資料 神経学の参考書
索引

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自然に神経学のエッセンスが学べる恰好の書物
書評者: 水野 美邦 (順大特任教授・老人性疾患病態治療研究センター)
 本書の著者,森惟明先生は,私の大の友人で,先生と最初にお目にかかったのは,昭和40年代にさかのぼる。シカゴの小児病院に森先生が留学されていた同じ頃,私もシカゴのノースウェスタン大学の神経内科に留学していて,小児神経学のローテーションでお目にかかった。お目にかかったその時から,聡明かつお人柄も大変すばらしい方との印象を持ったが,帰国してからも時々研究会や学会でお目にかかることがあった。先生は,本書の上梓前にもたくさんの本を書いておられ,また写真の名手で大変きれいな写真集も出版しておられた。忙しい脳神経外科の教授をやりながら,どこからこのエネルギーがでてくるのだろうと,いつも敬服していたし,自分にはとうてい真似のできない境地であると感じていた。先生は,脳外科が専門であるにも関わらず,神経学全般にとても広い知識を持っておられ,また教育がとてもお上手である。いつも先生の著書には,ポイントがわかりやすく解説されている。

 今回出版された,『神経学レクチャーノート』は,主にOT,PT,STなどのコメディカルの分野を学ぶ学生にいかにわかりやすく,また面白く神経学を教えるかということを念頭にして書かれたもののように思う。全体の構成は,神経の構造と機能,症候,診断法,検査法,それから各論となっており,重要な事柄はすべて網羅されている。各論は,脳血管障害に始まり,外傷,腫瘍,脊髄・脊椎疾患,その他の神経疾患と続く。最後に知識の整理というチャプターがあって,要点がまとめられているのも,学ぶ立場にたつと嬉しい。

 内容は,例えば神経の構造と機能の頁をめくると,わかりやすい図が多数掲載されており,また重要な項目が表にまとめられている。図を見てゆくだけでも要点が頭に入り,難解な神経解剖に煩わされることなく,臨床に必要な神経解剖が頭に入るように配慮されている。表は知識の整理にとっても役立つ。すべての項目にわたって,図と表で知識を整理するというコンセプトが貫かれており,学生にとって大変わかりやすいレクチャーノートとなっている。神経変性疾患の項がやや物足りないきらいはあるが,コメディカルの分野で学ぶ学生を,煩雑な神経変性疾患で悩ませるよりは,大切な疾患の要点を学んでもらったほうがよいとの著者の思いが込められているように感ぜられる。

 本書は,OT,PT,STのみならず,コメディカルの分野で,神経学の知識・常識を得たい人にとっては,恰好の書物である。とにかくわかりやすい,読んでいて退屈しない,新しい知識を吸収する面白さを感じながら自然に神経学のエッセンスが学べる書物である。皆様に一読をお勧めする次第である。

学生の興味を引き付けさらに刺激する教科書
書評者: 菅原 憲一 (神奈川県立保健福祉大助教授・理学療法学)
 PT,OT,STをめざす学生の多くは人体に生じるさまざまな事象に関して新しく正しい知識を効率よく学習できることを望んでいる。医学の基礎となる解剖学・生理学・臨床医学を修得することはコメディカルの学生にとって必須条件である。医療職につくことを前提とするとこの3つの領域について個別の理解を深めるとともに,それぞれの学問を有機的に連携させることが医療に関する“学び”のポイントとなる。

 私が理学療法学に関して学生を指導するようになって10数年になる。担当する科目は主に評価学を中心としている。その中でも,中枢神経系の評価に関しては教えるたびにその奥の深さを実感するとともに,病態の多様性から多くの時間を割く必要性がある。上述した解剖学,生理学,臨床医学の間の溝を埋め,関連性を整理して伝えることができれば学生の興味は増し,それにつれて理解度も上がる。中枢神経疾患と聞いただけで,「難しい,とっつき難い」と学生の多くは尻込みする。教える側としては,だからこそ,教え甲斐があるというものである。どのように学生の興味を引き付けるか,いかに勉強を好きにさせるかということは,教員としての醍醐味といっていいだろう。

 そこで重要なのは,学生に対して中枢神経系疾患に関する具体的な臨床の問題点や事例を如何にわかりやすく提示できるかということである。そこから評価までの道をたどり,また各事象に戻るという往復過程を示し教えることができれば,学生の興味を引き付けることができる。すなわち,臨床場面で生じている事象と学生が持つ思考が結びつくこと,これは学生自身が理解している内容を展開できたということになり,さらに学生の興味は刺激され相乗効果となっていく。

 学生のころ使っていた教科書はどうしても医学生の導入書のようなもので扱いにくく,われわれにとって必要な部分の記載が薄く,不都合を感じたものだった。今回の『PT・OT・STのための神経学レクチャーノート』は凝縮された重要事項が事典のように網羅されており,きわめて各疾患の理解につながる形でまとめられている。またその分量が適当であるとともに,コメディカルにとって重要な部分にしっかりとウェートが置かれていることもありがたい。さらに,姉妹図書である『PT・OTのための脳画像のみかたと神経所見』は中枢神経系疾患の臨床所見の宝庫であり,正に森先生の長年にわたる豊富な臨床経験が渦巻いているものであると感心させられる。

 私の担当する講義では『PT・OTのための脳画像のみかたと神経所見』による臨床症例を提示するとともにそこから解剖学的な理解を深め,病態と対応させる。その後,『PT・OT・STのための神経学レクチャーノート』を用いて臨床医学を理解し,生理学的な知識を整理し各疾患を有機的に連結していく道筋を今思い描いている。今後もこのように学生の興味を引き付け,さらに刺激する教科書が多く世に出ることを願うばかりである。

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