助産診断・技術学Ⅱ 第4版
[3]新生児期・乳幼児期

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助産診断・技術の内容を全面的に改訂しました。本巻では、正常経過およびハイリスクのそれぞれにおいて、新生児のアセスメントとケアを重点的に解説し、親・家族、家庭生活も含めたフォローアップまで、新生児ケアをトータルに学習できる構成としています。また第4版では、乳幼児の健康診査について紙数を割いて詳細に解説しています。
シリーズ 助産学講座 8
編集 横尾 京子
執筆 横尾 京子 / 中込 さと子 / 李 容桂 / 内田 美恵子 / 斉藤 依子 / 標 美奈子
発行 2007年06月判型:B5頁:240
ISBN 978-4-260-00362-9
定価 3,740円 (本体3,400円+税)
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第4版の序

改訂の背景
 平成8年の看護職員養成に関するカリキュラム改正から,はや10年が経過した。この間の母子を取り巻く社会情勢は大きく変化した。すなわち,家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚率の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,家族機能は急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し,次のような変化も起きてきた。従来にも増してハイリスク妊娠や妊婦の重症ケースが増え,医療の高度化が求められている。生殖補助医療は日々進歩,普及している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題が多様化・深刻化している。さらには思春期の若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害などの健康問題,在日外国人の母子保健問題,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題,受精卵のSE細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用にあたっての問題など,母子や性と生殖に関する多くの課題が浮き彫りになり,大きな社会的問題となっている。

 助産師業務も,このような母子(及び女性)とその家族の多種多様なニーズと急速な変化に対応すべく,変革してきた。ICMオーストラリア・ブリスベン大会(2005年7月)において改定された助産師の定義を見てみよう。まず助産師の責任や女性とのパートナーシップが強調されている。具体的なケアとして,正常分娩の推進,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援を利用すること,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯に渡るリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出しているのである。

 このように助産師の活動する範囲や業務は拡大しているにもかかわらず,助産師教育に着目すると次のような問題がある。近年,看護系大学の増加に伴い,4年制大学の中で助産師教育を行う教育機関が増加する一方,従来の1年課程の助産師教育機関は減少している。また,保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下,指定規則)で定められた助産師教育に必要な単位数は22単位であるが,大学における助産師教育の平均卒業単位数は15.5±3.7単位である。これは従来の1年課程の助産師教育機関で行っていた単位数(多くは30単位前後)よりも大幅に下回っている(全国助産師教育協議会:看護大学における助産師教育の実際,p28,平成14年度事業活動報告書)。

 また,教育制度の変化や少子化の影響で,助産師学生の卒業時技術到達度として指定規則で定める出産介助例数(10例程度)を下回るなど,臨床技術が未熟なまま助産師資格を得てしまう問題も生じている。このような現状に対し,平成13年の保健師助産師看護師法改正案の審議過程で,衆参両院で助産師教育の状況に関して多くの議論がなされ,助産師教育の充実を図るために附帯決議として以下の内容が付記された。

 (1)出産に関するケアを受ける者の意向が尊重され,それぞれの者にあったサービスの提供が行われるよう,情報提供の促進を含め必要な環境の整備に努めること。

 (2)助産師教育については,学校養成所指定規則に定める十分な出産介助実習が経験できるようにする等,その充実に努めること。(以下省略)

改訂の趣旨
 本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストである。助産師国家試験出題基準で示された内容を網羅するように,このたび改訂第4版を企画した。現行カリキュラムの基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMを踏まえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように再編成したのである。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することで,具体的には改訂の背景で前述したような状況にも対応できる助産師を養成することである。

 改訂第4版に当たって,まず「助産診断・技術学I,II」についての見直しを行った。旧版では「助産診断・技術学I,II」は2巻構成であったが,本巻を含む4巻構成に改訂した。「助産診断・技術学」では,診断・技術の能力と助産師として必要な相談・教育・援助技術の能力という,いわば助産学の実践科学(診断と支援技術)を教授する。「助産診断・技術学I」(5巻)では,女性の一生を通じての性と生殖に関わる健康問題について相談・教育・技術援助を行う基礎的な能力が身につくようにまとめた。「助産診断・技術学II」は,妊娠期(6巻),分娩期・産褥期(7巻),新生児期・乳幼児期(8巻)の3巻構成とし,各期における女性と新生児・乳幼児の身体的・心理社会的状態について,助産師として正常・異常を判断でき,対象によりよい援助を提供するための基礎的実践能力が身につくようにまとめた。とくに基礎的助産診断・技術法から高次の助産診断・技術法までをEBMを踏まえて詳細に記述した。

 執筆者はその領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ,使いやすさを工夫している。


 助産師学生の皆様の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用して頂ければと,切に願っている。

 2007年2月
 編者ら

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第1章 新生児のケア
 A 新生児ケアの基本
 B 新生児の適応生理
 C フィジカル・アセスメント
 D 出生時のケア
 E 出生後24時間以内のケア
 F 24時間以降の早期新生児のケア
 G 新生児マススクリーニング
 H 注意を要する一般的な問題
 I 家庭生活への移行とフォローアップ
第2章 NICUとハイリスク新生児のケア
 A ハイリスク新生児ケアの基本
 B 親・家族のケアと協働
 C 生理学的適応を助けるケア
 D 神経学的発達を助けるケア
 E 低出生体重児のケア
 F 呼吸障害のケア
 G 先天性心疾患のケア
 H 一般小児外科疾患のケア
 I 脳神経外科疾患のケア
第3章 乳幼児の発育発達と健康診査
 A 乳幼児の健康診査
 B 乳幼児健康診査の実際
母子健康手帳
索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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