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緩和ケアエッセンシャルドラッグ


(在庫なし)

著:恒藤 暁/岡本 禎晃

  • 判型 三五変
  • 頁 288
  • 発行 2008年06月
  • 定価 2,200円 (本体2,000円+税10%)
  • ISBN978-4-260-00588-3
緩和ケアに必須の薬情報を網羅
緩和ケアに必須の薬の情報をポケットサイズ(140mm×95mm)にまとめた本。疼痛のみならず、倦怠感にはじまる消化器や呼吸器など身体的な問題、精神的な問題など、がん患者の諸症状のマネジメントに必須の薬―エッセンシャルドラッグ50種を選び、薬剤情報から使用のコツ、副作用や併用方法などについて解説。緩和ケアでは承認外適応も多く、著者の経験による情報は、薬剤本には載っていない貴重なものである。
序 文
序 本書の目的

 世界保健機関は,2002年に「緩和ケアとは,生命を脅かす疾患に起因した諸問題に直面している患者と家族のQOLを改善する方策で,痛み,その他の身体的,心理的,スピリチュアルな諸問題の早期かつ確実な診断,早期治療によって苦しみを予防し,苦しみから解放することを目標と...
序 本書の目的

 世界保健機関は,2002年に「緩和ケアとは,生命を脅かす疾患に起因した諸問題に直面している患者と家族のQOLを改善する方策で,痛み,その他の身体的,心理的,スピリチュアルな諸問題の早期かつ確実な診断,早期治療によって苦しみを予防し,苦しみから解放することを目標とする」と定義を改訂している.緩和ケアでは全人的苦痛(total pain)からの解放が中核である.
 わが国では「がん対策基本法」が2007年4月から施行された.その第16条において「国および地方公共団体は,がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること,居住においてがん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保すること,医療従事者に対するがん患者の療養生活の質の維持向上に関する研修の機会を確保すること,その他のがん患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策を講ずるものとする」と明記され,緩和ケアの実践と教育・研修が重要課題になっている.
 「緩和ケアの学習はどこから始めたらよいか」と尋ねられることがあるが,症状マネジメントが緩和ケアの出発点であると考えている.症状マネジメントは緩和ケア実践の手段であり,緩和ケアの目指すものはより広くて深いものである.症状マネジメントなしには緩和ケアを実践することは困難である.そして,症状マネジメントの必須薬,つまりエッセンシャルドラッグを習得することが,緩和ケア実践の近道である.症状マネジメントにおける薬物療法は“両刃の剣”である.薬剤を適切に使用することで患者のQOLを改善させえる一方で,不適切に投与するとQOLを損ねることになる.
 本書では,“国際ホスピス緩和ケア協会による緩和ケア必須薬”を基にわが国の実情に即して約50種類のエッセンシャルドラッグを厳選し,さらに症状マネジメントと薬剤情報を有機的にまとめるように努めた.これらの薬剤により緩和ケアでみられる9割の症状マネジメントが網羅されているものと考える.本書の薬剤情報が患者の症状マネジメントに大いに役立てられることを願っている.なお,発行時点の最新・最善と考えられる情報を掲載するように努力を払ったが,薬剤使用の際には,最新の医薬品添付文書などで確認していただきたい.
 今後,本書の内容を更に充実させたいと願っており,お読みになった方々からのご意見やご教示をお寄せいただければ幸いである.

 2008年5月
 恒藤  暁
 岡本 禎晃
書 評
  • 緩和ケアの知識が詰まった小さな巨人
    書評者:渡邊 正(公立学校共済組合東海中央病院院長)

     診療中にすぐ参照できるように,手の平に乗るような小型サイズでありながら,緩和ケアに関する専門的・実践的知識がぎっしりと詰まった本書は,私には小さな巨人に譬えることができると思われた。それは本書が,(1)従来の小型版のほとんどが疼痛コントロールに限られているのに対し,緩和ケアで遭遇する多くの症状が網...
    緩和ケアの知識が詰まった小さな巨人
    書評者:渡邊 正(公立学校共済組合東海中央病院院長)

     診療中にすぐ参照できるように,手の平に乗るような小型サイズでありながら,緩和ケアに関する専門的・実践的知識がぎっしりと詰まった本書は,私には小さな巨人に譬えることができると思われた。それは本書が,(1)従来の小型版のほとんどが疼痛コントロールに限られているのに対し,緩和ケアで遭遇する多くの症状が網羅されていること,(2)著者の長年の経験から得られた臨床上のノウハウが随所に見られ,本書に息を吹き込んでいるばかりでなく,実践的で有用な知識を提供していること,(3)緩和ケアの本質である全人的ケアの観点が貫かれていること,などの特徴を持っているからと思われる。

     さて本書は,総論として症状マネジメントの原則と概説,各論として緩和ケアで用いられるエッセンシャルドラッグの解説から構成されている。先にタイトルにもなっているエッセンシャルドラッグであるが,世界保健機関(WHO)が国際ホスピス緩和ケア協会(IAHPC)に依頼して作成されたもので,そのリストは2006年の『Palliative Medicine』(Vol.20, p.647-651)に公表されている。リストの作成に当たっては,緩和ケアで多くみられる症状を特定したあと,デルファイ法を用いて薬剤の効果,安全性,経済性などを検討し,必須薬として33剤を決定している。しかし薬剤に関する説明はほとんど省略されているため,著者はこれらの必須薬をもとにわが国の実情に即して約50種類の薬剤を厳選した上で,各薬剤の用法,副作用,相互作用などについて詳細な解説を行っている。

     総論の症状マネジメントの原則と概説では,がん性疼痛から始まり鎮静に至るまで,緩和ケアで遭遇する主な症状を18項目取り上げている。各項目は,概念,原因,方針,マネジメント,ケア,薬物療法などから成っているが,著者の長年の臨床経験をもとにケアに関する行き届いた記載があり,薬物療法とともに基本的なケアをしっかり行うことの重要性を強調している。

     著者の長年の経験はエッセンシャルドラッグの解説にも表れていて,薬剤使用の留意点が実際に即して書かれた「ポイント」の項は,診療に当たって大変役に立つと思われる。

     がん対策基本法のなかで,緩和ケアの普及はがん治療の均てん化を進める上で重要な施策になっている。そのことはもちろん望ましいことであるが,緩和ケアが症状コントロールに矮小化されないように,緩和ケアの本来の意味や目標も含めて普及することが望まれる。著者は,「序 本書の目的」の中で,「緩和ケアでは全人的苦痛(total pain)からの開放が中核である」,また「症状マネジメントは緩和ケア実践の手段であり,緩和ケアの目指すものはより広くて深いものである」とも述べ,症状コントロールの位置付けを明確にしている。そして薬物療法は“両刃の剣”という側面があるため,患者のQOLの向上には,効果だけでなく副作用にも十分注意した適正な薬剤の使用を常に心がけるように読者に配慮を求めている。緩和ケアが急速に普及する中で,本書はタイムリーに発刊されただけでなく,緩和ケアの本来のあり方を理論的,実践的に広めていく上で,日常診療の友として是非手元に置いて参照していただきたい。
目 次
I 本書の構成と使用法
II 国際ホスピス緩和ケア協会による緩和ケア必須薬
III 症状マネジメントの原則
IV 症状マネジメントの概説
 1 がん性疼痛
 2 倦怠感
 3 食欲不振
 4 悪心・嘔吐
 5 イレウス
 6 便秘
 7 下痢
 8 腹水
 9 呼吸困難
 10 咳嗽
 11 転移性脳腫瘍
 12 高カルシウム血症
 13 不安
 14 抑うつ
 15 せん妄
 16 不眠
 17 死前喘鳴
 18 苦痛緩和のための鎮静
V エッセンシャルドラッグ
 アセトアミノフェン
 アミトリプチリン
 イミプラミン
 エトドラク
 オキシコドン
 オクトレオチド
 オランザピン
 ガバペンチン
 カルバマゼピン
 クロミプラミン
 ケタミン
 コデイン
 酸化マグネシウム
 ジアゼパム
 ジフェンヒドラミン
 ジメンヒドリナート
 スピロノラクトン
 センナ
 センノシド
 ゾルピデム
 ゾレドロン酸水和物
 デキサメタゾン
 ノルトリプチリン
 バルプロ酸ナトリウム
 パロキセチン
 ハロペリドール
 ピコスルファートナトリウム
 ビサコジル
 フェンタニル経皮吸収製剤
 フェンタニル注射剤
 ブチルスコポラミン臭化物
 ブプレノルフィン
 フルニトラゼパム
 フルボキサミン
 フルルビプロフェン
 プレドニゾロン
 プロクロルペラジン
 フロセミド
 プロポフォール
 ブロマゼパム
 プロメタジン
 ベタメタゾン
 ミダゾラム
 メトクロプラミド
 メロキシカム
 モルヒネ
 リスペリドン
 ロペラミド
 ロラゼパム

参考文献
索引
 事項索引
 薬効別索引
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