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疾患別摂食嚥下障害へのアプローチ DVD 第5巻
脳性麻痺を中心とした小児疾患

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わが国の小児医療,障害者医療は療育という形で大きな発展を遂げており,摂食嚥下機能を維持・発達させることもこの療育という考え方に合致する。小児の摂食嚥下障害の原因疾患は様々あるが,第5巻ではこのうち脳性麻痺を中心とした小児疾患について解説する。具体的には,脳性麻痺の分類,上手に食べる条件,乳児の口腔機能の発達,食べる機能の発達,保護者の協力の重要性,経口摂取の重要性,舌圧に関する報告,摂食嚥下障害とその対応,などについて述べる。

シリーズ監修 藤島 一郎
編集 弘中 祥司
発行 2020年12月
JAN 4580492610360
価格 38,500円 (本体35,000円+税)

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●『疾患別 摂食嚥下障害へのアプローチ』のご紹介

医療現場で重要度が増している摂食嚥下障害を、概念から治療法まで映像で解説するDVD教材『疾患別 摂食嚥下障害へのアプローチ』をご紹介します。

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監修の序

 このたび,医学書院から実際の臨床に役立つ摂食嚥下障害のビデオ制作を依頼され,約2年の歳月をかけて全6巻のシリーズを完成させることができた。摂食嚥下障害は各種疾患により引き起こされる症状である。結果として起こることは原因疾患によらず,口から食べられなくなるとともに,呼吸器合併症(誤嚥窒息)を併発し,脱水低栄養に陥るのであるが,その病態は大きく異なり,対処法も変わってくる。本シリーズでは代表的な疾患を取り上げ,その特徴と病態の理解を深めていただいたうえでアプローチを考えるという構成を取っている。
 各巻の編集者は現在,第一線で活躍している臨床医であり,各ビデオでは基本を押さえるとともに最先端の知見を盛り込んである。摂食嚥下を理解するためには動画が不可欠であるが,随所に代表的な動画が配置され,興味深く見ていると,いつの間にか理解が深まる。何度見直してもその都度新発見があると思われる。

 本シリーズで取り上げられなかった疾患も多い。認知症,食道疾患および術後,末梢神経障害,頸椎疾患,COPDなど細かく見て行けばきりがない。それらの疾患による嚥下障害に対しての対処法は,各ビデオをマスターしていただければ必ずや他の疾患にも応用が利くと思われる。
 それから,検査法,経管栄養法,訓練法とそのコツ,手術法,口腔ケア,倫理的な問題など臨床場面で直面する数々の問題点についても,各ビデオにわずかずつ触れられているが,重点的に深く取り上げるべき主題も残されたままである。もし,次の機会があればぜひ取り上げたいと思っている。

 この文章を書いているとき,世界はCOVID-19という恐ろしい感染症に翻弄されている。摂食嚥下障害の臨床も,コロナ時代ともいうべき感染リスクとの戦いのまっただ中にある。嚥下障害につきまとう「むせ」は,飛沫が飛び散り,もし今向き合っている患者が感染者であれば,治療者に感染する恐れが極めて高い。超高齢社会で摂食嚥下障害患者は増えているが,ワクチンや治療薬の開発が遅れコロナに適切な対応できない期間が長引けば,これまで救えていた患者,食べられるようになったはずの患者が大きな被害をこうむることになる。最新の情報を収集して,できることを適切に安全におこないながら,新たな時代の摂食嚥下障害臨床を構築していきたい。なお,新型コロナに対する対処法については日本嚥下医学会のホームページに詳しく書かれているのでご参照いただければ幸いである。

 2020年6月 浜松にて
 藤島一郎

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オープニング

小児の摂食嚥下障害 原因疾患

脳性麻痺の分類

上手に食べる条件

乳児の口腔機能の発達

食べる機能の発達

保護者の協力は不可欠

なぜ口から食べなければいけないのか?

舌圧に関する報告

摂食嚥下障害とその対応

小児の摂食指導の基本(発達期)

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各医療機関のみならず医療系大学でも常備しておきたい教材
書評者:山脇 正永(東京医科歯科大教授・臨床医学教育開発学)

 本DVDを視聴して,摂食嚥下障害治療の第一人者であるそれぞれの編者の話を,本人の目の前で聞いているような感覚を持った。全編が実践的動画を含む講義形式でコンパクトにまとめられており,日常の摂食嚥下障害で直面する疾患・症候についての基本的事項から,治療・リハビリテーション・対処法まで,内容がストーリー性を持ってまとめられている。摂食嚥下障害は原因疾患や障害部位によってパターンが異なり,その対応については病態のメカニズムや個人の摂食嚥下障害の特徴の理解が重要となってくる。本DVDでは疾患の病態から嚥下障害のメカニズムについて特にわかりやすく図表を使って解説されており,その鑑別のヒントや臨床上のTipsも多く示されている。

 本DVDの内容は,摂食嚥下障害の頻度として最も高い脳血管障害については球麻痺と偽性球麻痺に分けて詳説されており,またパーキンソン病をはじめとする神経難病やサルコペニアについての最新の内容も盛り込まれている。さらに,小児疾患による嚥下障害,頭頸部手術後の嚥下障害など,普段はあまり指導されることのない(日常臨床ではしばしば経験されるが,その内容を指導してくれるエキスパートがいない)分野もカバーしている。

 ビデオ教材の利点として,難解な部分や嚥下造影検査結果などを繰り返しあるいはスローで再生でき,理解が深まることがある。本DVDには,時間をかけて咀嚼すべき内容や図表を見ながらじっくり理解する内容,繰り返し診るべき検査所見や手技が盛り込まれており,一度のビデオの再生時間以上の時間をかけてじっくりと見るべきものとなっている。また,本DVDの特徴として,嚥下造影などの検査所見だけでなく,摂食嚥下障害への治療・リハビリテーション手技が動画としてわかりやすく編集されている点がある。手技を習得するに当たって重要な点は,正しい手技を見ること,実際の手技場面を見ることの2点があるが,本DVDではこの2つが同時に満たされており,この意味でもぜいたくなつくりとなっている。画像的にも,本DVDの画はクリアであり,誤嚥の瞬間などもわかりやすく示されている。各施設での摂食嚥下障害の実臨床に明日から応用できるようになっている。

 本DVDは基礎的事項からわかりやすくまとめられており,医療者の教育教材としても有用である。内容的に卒前教育から卒後教育,認定医療者教育にも十分に活用できる。摂食嚥下障害の基礎~応用までの教科書として,各病院だけでなく医療系大学などの教育機関でも常備しておきたい教材である。

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