標準保健師講座[1]
公衆衛生看護学概論 第5版

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・本巻は,保健師国家試験出題基準(平成30年版)の公衆衛生看護学概論,公衆衛生看護方法論I,公衆衛生看護方法論II,健康危機管理,公衆衛生看護管理論に対応しています。
・公衆衛生看護活動の基礎となる公衆衛生看護の理念および概念,活動の対象・場および背景・環境などについて,わかりやすく解説しています。
・​​​​​​​公衆衛生看護活動の展開に関しては,その基盤となる理論や方法および,地域アセスメント(地域診断)に基づく活動の計画・実践・評価について,理解を深められるように編集しています。
・​​​​​​​公衆衛生看護活動の実践において重要な公衆衛生看護管理および健康危機管理の基本についてわかりやすく解説しています。また,公衆衛生看護の歴史についても制度の変遷を把握できるよう記述しています。

*「標準保健師講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準保健師講座 1
執筆 標 美奈子 / 松田 正己 / 渡部 月子 / 臺 有桂 / 中谷 淳子 / 新井 香奈子 / 近藤 麻理 / 尾島 俊之 / 中村 裕美子 / 山崎 真帆 / 岩室 紳也 / 藤内 修二 / 吉岡 京子 / 島田 美喜 / 鳩野 洋子 / 牛尾 裕子 / 柳生 文宏 / 近藤 明代 / 野地 有子
発行 2019年01月判型:B5頁:276
ISBN 978-4-260-03560-6
定価 3,410円 (本体3,100円+税)
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はしがき

 少子高齢社会のなか,保健師活動では予防の重要性が強くうたわれ,健康な地域づくりが重要な課題となっています。さらに,在宅看護の需要の拡大から療養支援には生活の視点が重要になっています。公衆衛生看護学は,保健師だけでなく看護師にとっても必要不可欠なものです。多くの看護職が公衆衛生看護の志向をもつことが求められています。
 いま保健師教育の場は,これまでの3年制の看護学に1年制の保健師教育を付加する養成所や短期大学専攻科における養成に加え,看護学に統合された4年制大学および大学院修士課程など多様化しつつあります。なかでも多くの4年制大学では,公衆衛生看護学について限られた時間内で講義や臨地実習をしており,教員が信頼して学生に読ませることのできるテキストが必要とされています。また,大学生には看護師と保健師の2つの国家試験を受験するため,保健師国家試験にむけて短時間で効率よく,自己学習できるテキストが求められています。
 本講座は,教員や学生のニーズに応え標準的な保健師教育のための教科書として,保健師に求められる基本的な知識と技術を習得することを目ざし企画されました。
 本講座の特色は,改定された保健師国家試験出題基準の項目をすべて網羅したかたちで,保健師として押さえておくべきことをコンパクトにまとめたことです。
 本来,保健師の仕事は,応用が必要で創造的なものですが,基本がおろそかでは,応用的な課題に対応できないといえます。「理念や理論を押さえたうえでの基本の理解と,実践能力豊かな専門職の教育」を本講座のねらいとしました。

 本講座は,『公衆衛生看護学概論』『公衆衛生看護技術』『対象別公衆衛生看護活動』の3巻と,『保健医療福祉行政論』『疫学・保健統計学』の別巻2巻の全5巻の構成です。
 本巻の3冊は保健師の基本として理念や考え方を述べた1巻『公衆衛生看護学概論』,保健師にとって公衆衛生看護を実践するうえで必要とされる技術をまとめた2巻『公衆衛生看護技術』,対象別・課題別の活動を展開する3巻『対象別公衆衛生看護活動』です。
 さらに,保健師の習得しておくべき基本的知識として,主たる活動の場の理解を深める『保健医療福祉行政論』,保健活動をデータで方向づける『疫学・保健統計』を,別巻の2冊としてコンパクトにまとめました。
 執筆者は保健師として現場経験豊富な看護大学教員や,地域保健に詳しい公衆衛生医師らで構成しました。

 本巻は,保健師国家試験出題基準(平成30年版)の次の内容に対応しています。
公衆衛生看護学概論(1.公衆衛生看護の基本,2.公衆衛生看護における倫理,3.公衆衛生看護の対象,4.公衆衛生看護の活動方法と特性,5.人々の健康に影響する背景・要因と健康課題)
公衆衛生看護方法論I(1.対象の理解とアセスメントに基づく支援)
公衆衛生看護方法論II(1.地域保健活動の基本,2.地域アセスメント〔地域診断〕,3.地域保健活動,地区活動,5.保健医療福祉における事業化と施策化)
健康危機管理
公衆衛生看護管理論
 本書は,公衆衛生看護学の基礎となる理念・概念および活動展開について学べるように編集しました。すなわち本書では,公衆衛生看護の理念・対象,公衆衛生看護を実践するさまざまな場,健康に影響を及ぼす社会環境,公衆衛生看護の活動展開の概要,地域アセスメント(地域診断)に基づいた公衆衛生看護活動の計画・実践・評価,計画策定と施策化,公衆衛生看護管理,公衆衛生看護に関連する法令,研究,健康危機管理および日本・米英における公衆衛生看護の歴史について解説します。とくに地域アセスメント(地域診断)の展開については,具体的な事例を用いて実践的な学習ができるように編集しました。

 本書を活用された皆さんが,公衆衛生看護を担う保健師として活躍されることを願っています。

 2018年11月
 筆者ら

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1章 公衆衛生看護の理念
 A 公衆衛生看護の理念(標美奈子)
  1.公衆衛生看護の定義
  2.公衆衛生看護の理念
 B 公衆衛生の理念(松田正己)
  1.公衆衛生の理念
  2.公衆衛生活動の目的・目標の変遷
  3.健康の概念:状態として,権利として
  4.PHC:義務としての健康から,権利としての健康へ
  5.ヘルスプロモーション
  6.障害者の権利条約
  7.ユニバーサルヘルスケアとPHC 40年
 C 公衆衛生看護の基盤となる概念(標美奈子)
  1.公衆衛生看護における倫理
  2.基本的人権の尊重
  3.公衆衛生看護における公的責任
  4.権利擁護(アドボカシー)
  5.エンパワメント

2章 公衆衛生看護の対象(渡部月子)
 A 公衆衛生看護の対象の特徴
  1.公衆衛生看護の対象は地域で生活する人々
  2.個人・家族,グループ,組織,地域を活動の対象とする
 B 公衆衛生看護の対象としての個人・家族
  1.活動対象としての個人
  2.活動対象としての家族
 C 公衆衛生看護の対象としてのグループ・組織・地域
  1.活動対象としてのグループ
  2.活動対象としての組織
  3.活動対象としての地域

3章 公衆衛生看護の場
 A 行政機関(臺有桂)
  1.行政機関
  2.保健所
  3.市町村保健センター
  4.福祉部門
  5.国(厚生労働省)
 B 職域(中谷淳子)
  1.職域保健(産業保健)が行われる場の理解
  2.産業看護職の活動
 C 学校(渡部月子)
  1.学校保健
  2.学校保健活動と養護教諭の職務
  3.公衆衛生看護と学校保健との連携
 D 医療施設(新井香奈子)
  1.医療施設の概要
  2.在宅医療
 E 福祉施設(臺有桂)
  1.福祉施設の目的と保健師への期待
  2.児童相談所
  3.地域包括支援センター
  4.保育所
 F 国際(近藤麻理)
  1.国際協力活動
  2.異文化と多様性への理解

4章 社会環境の変化と健康課題(尾島俊之)
 A 人口および疾病構造の変化
  1.人口の変化と健康課題
  2.疾病構造の変化と健康課題
 B 社会構造・文化的背景の変化
  1.家族・近隣・労働の変化
  2.健康格差と健康の社会的決定要因
  3.健康課題解決のための資源
  4.生活・文化の多様化
 C 社会情勢,政治・経済・産業構造の変化
  1.社会保障制度改革,医療制度改革
  2.男女共同参画社会
  3.地方分権の推進
  4.科学技術の発展,医療の高度化・複雑化
  5.情報化,ICT(情報通信技術)の発展
 D 環境の変化と健康課題
  1.地球環境の変化
  2.環境汚染・公害
  3.生活環境の変化
  4.放射能による影響
  5.地域の健康危機

5章 公衆衛生看護活動の展開の基盤(中村裕美子)
 A 健康と生活
  1.健康とは
  2.生活とは
 B 公衆衛生看護活動の基盤―理論および展開方法
  1.理論
  2.公衆衛生看護活動の展開方法および遂行方法
 C 公衆衛生看護活動の基本的な展開方法
  1.総合的な地区活動
  2.個別・家族へのアプローチ
  3.集団・グループへのアプローチ
  4.地域へのアプローチ
  5.施策化・事業化へのアプローチ

6章 公衆衛生看護活動の展開方法
 A 公衆衛生看護活動の展開における地域アセスメント(標美奈子)
  1.公衆衛生看護活動の展開の基本
  2.公衆衛生看護活動における地域アセスメントの基盤
  3.地域アセスメント進め方
  4.活用できる理論モデル
 B 公衆衛生看護活動の計画・実践・評価(中村裕美子・渡部月子・標美奈子)
  1.計画策定とは
  2.計画策定の具体的な流れ
  3.公衆衛生看護活動の計画策定・実施による波及効果
  4.公衆衛生看護活動の評価
 C 地域アセスメント(地域診断)演習(中村裕美子・渡部月子・山崎真帆)
  1.既存の資料や日常の保健活動から把握した情報
  2.アセスメントで抽出した問題の整理
  3.計画と評価の実際

7章 保健医療福祉における事業化と施策化
 A 事業計画の策定と実践(事業化)(岩室紳也)
  1.健康課題を解決するための事業計画の策定と実践
  2.計画を策定したから進んだ他分野の政策との連携
  3.事業計画と予算
  4.計画の評価の実際
 B 保健計画の策定(施策化)(藤内修二)
  1.地方公共団体における保健計画の位置づけ
  2.保健計画の意義
  3.保健計画に必要な要素
  4.保健計画の策定プロセス
  5.保健計画策定における保健師の役割

8章 公衆衛生看護管理
 A 公衆衛生看護管理の基本(吉岡京子)
  1.公衆衛生看護管理とは
  2.組織運営と管理
  3.人事管理
  4.専門的自律と人材育成
  5.予算管理
  6.情報管理
  7.業務管理
  8.保健師の職業倫理
 B 公衆衛生看護活動に関する法令(島田美喜)
  1.法令を学ぶ意義と公衆衛生看護活動の根拠
  2.公衆衛生看護活動に関する法令
  3.保健医療福祉にかかわる職種とその根拠法令
 C 公衆衛生看護と研究(鳩野洋子)
  1.公衆衛生看護活動と研究との関係性
  2.保健師の日常活動のなかで研究的な視点が必要になる場面
  3.公衆衛生看護活動にかかわる研究の場面
  4.公衆衛生看護において研究(研究的な活動)を実施するために
  5.公衆衛生看護活動と研究における課題

9章 健康危機管理
 A 健康危機管理の基本(牛尾裕子)
  1.健康危機管理の理念と目的
  2.健康危機の分野
  3.リスクマネジメント
 B 災害保健活動(牛尾裕子)
  1.災害とは
  2.災害に対する社会的対応システム
  3.災害保健活動の基本
  4.災害発生時から災害復旧・復興対策期の保健活動
  5.平常時からの保健活動
 C 感染症集団発生への保健活動(柳生文宏)
  1.感染症調査の基本
  2.事前対策,発生時の対応
  3.感染拡大防止

10章 公衆衛生看護の歴史
 A 日本における公衆衛生看護の歴史(近藤明代)
  1.日本における公衆衛生看護活動の創成期
  2.戦時体制下の公衆衛生看護活動
  3.占領下・復興期の公衆衛生看護活動
  4.大きな転換期を迎えた公衆衛生看護活動
  5.高齢化などの新たな問題への対応
  6.地域保健法の施行,さまざまな健康問題への対応
  7.21世紀の健康問題への取り組み
 B 米国と英国の公衆衛生の発達と公衆衛生看護活動の歴史(野地有子)
  1.米国と英国の公衆衛生・公衆衛生看護活動からなにを学ぶか
  2.米国の公衆衛生の発達と公衆衛生看護活動の歴史
  3.英国の公衆衛生の発達と公衆衛生看護活動の歴史

INDEX

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