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≪系統看護学講座 専門基礎分野≫

健康支援と社会保障制度[4]

看護関係法令


(第50版)

著:森山 幹夫

  • 判型 B5
  • 頁 364
  • 発行 2018年02月
  • 定価 2,592円 (本体2,400円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03449-4
本書の特徴
看護の基礎教育で学ぶべき各領域の法令について体系的に解説し、学習のポイントを記述しています。
看護の中心となる「保健師助産師看護師法」から周辺の法令まで、系統だてて解説しているため、法令間の関係も理解しながら学習を進めることができます。
本書は、毎年改訂し、発行直前までに制定・改正された最新の法令を加え、充実しています。また、学習の便を考え、内容も適宜見直し、わかりやすく記述しています。
最新版では、「介護保険法」「医療法」および「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」などの直近の改正を織り込んでいます。
巻末には、「保健師助産師看護師法」の全文をはじめ、必要な諸法令の関係条文を掲載し、本書1冊で用が足りるようにしています。
*「系統看護学講座」は2018年版より新デザインとなりました。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文
はしがき

看護の発展は国民のために
 看護とは,人間の自然治癒力を引き出し,生きる希望と力をつくり,生涯にわたり尊厳をもって輝く人生を送れるよう支援することである。保健師助産師看護師法第5条で,傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助という行為の外...
はしがき

看護の発展は国民のために
 看護とは,人間の自然治癒力を引き出し,生きる希望と力をつくり,生涯にわたり尊厳をもって輝く人生を送れるよう支援することである。保健師助産師看護師法第5条で,傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助という行為の外見を書いているが,それは看護師にしかできない業務独占行為を書いているのであり,看護の定義を書いているわけではない。保健師助産師看護師法では看護とはなにかを定義していない。同法は行為規制法だからである。この法律だけで看護が決まるのではない。看護は看護学の社会的適用であるので,看護学を積み,多くの法を理解してはじめて国民が求める看護がわかる。
 保健師助産師看護師法はここ数年で何度も改正されている。大学における看護学教育の明文化,保健師・助産師教育の修業年限を「6か月以上」から「1年以上」に延長,臨床研修の努力義務化,養成施設監督権限の都道府県知事への移譲,特定行為研修の開始などである。法といえども時代の要請で変化をとげている。
 看護はじめ医療は,経済的側面では最大で55兆円近くの産業規模であり,健康保険の対象となる国民医療費ベースだけでも42兆円にもなるわが国最大の産業である。医療で働く300万人のなかでも最大の集団である170万人の働く看護職の活躍が,医療の質を決め,国民に評価されることになる。
 看護職が質の高い看護を提供するには,まず社会人として充実した豊かな人生を送り,職業人として任務を十分に果たさなければならない。そのためには高い教養を持ち,深い専門的知識とすぐれた技術技能を身につけるとともに,わが国の保健医療福祉に関する諸制度の概要とそれを規定する諸法令を理解しなければならない。社会において看護が大きな位置を占め,保健師・助産師・看護師がどういう役割を受け持っているかを正しく認識する必要がある。看護はじめ医療という仕事は,人間の生命に直接関係するだけに,医療に携わる人の資格や業務内容が法律で厳格に規定されている。看護に携わる者が,国民の健康を守り,与えられた職責を正しく遂行するために,看護関係法令の理解が必要である。
 本書は,看護に携わる者にとって最も重要な法である保健師助産師看護師法から説き,順次周辺に広げ,医事や保健衛生,社会福祉などの関係法令を重要度に応じて解説している。
 学修にあたっては,これら法令を単に知識として学ぶだけではなく,なぜこのような内容になっているのか,看護との関係はどうなのかについて,他の科目で学んだこと,あるいは日常生活や実習での経験,さらに書籍・テレビ・新聞・インターネットなどからの情報とも関連づけて理解するように希望する。なお,附録に,保健師助産師看護師法および関係政省令・通知と保健医療関係法のうち看護業務に密接に関係する部分の条文を掲載しているので,勉学の参考にされたい。
 法律というと,日常生活とはかけ離れたもの,難解なものという印象があり,敬遠されがちである。実際には,法律は私たちの日常生活そのものであり,知らず知らずのうちに,法から守られ,法を守っている。法とは,基本的には誰もが守ることができる,ごく当たり前のこと,自然な内容であり,そうむずかしいことではない。読者の研鑽に期待したい。

少子高齢人口減少社会で看護の役割は増大
 いま,日本では,利用者の視点を中心にして,ノーマライゼーションとリハビリテーションの理念のもとに,医療など社会保障の施策が展開されている。2017(平成29)年は,年間出生数が前年に続いて100万人を割り,94万人となった。近年の合計特殊出生率は1.44であるが,厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所による人口推計でも,基調は年間出生数が100万人程度,合計特殊出生率は1.44で推移するなど少子化が進むことが予測される。
 相対的に高齢化も進展し,現在は65歳以上の高齢者は3500万人で,高齢化率は全人口の28%に,75歳以上の後期高齢者は14%にまで達し,2016(平成28)年の女性の平均余命87.14歳とともに世界最高水準である。なお,2017(平成29)年は年間死亡数が134万人に増加し,日本は少子高齢化とともに人口減少社会に突入している。
 また,2025年には戦後の1947年から1949年にかけて生まれたベビーブーム世代が後期高齢者となる。この人口構成の劇的な変化が日本の社会保障に多大な影響を及ぼす。
 このため,国中でわが国の将来を考え,国会や厚生労働省社会保障審議会などにおいては,社会保障から社会のあり方まで社会保障と税の一体改革として幅広く議論した結果をまとめ,日本の新しい姿に向かって進もうとしている。
 医療の分野では,医療制度改革が推進中で,給付と負担の適正化により安定的な医療保険制度の構築を目ざし,医療提供体制については,利用者の視点を中心においた改革が進み,利用者主役と医療安全が基本となっている。
 福祉の分野では,少子高齢化時代の介護を社会全体で支えるために介護保険が始まって久しく,関係者の尽力によって順調に進んでいるが,地域包括ケアシステムの構築と介護人材の確保が課題である。さらに利用者主役を進めるために,障害をもつ方々へのサービスが障害の種別をこえて提供されようとするなど,社会福祉の基礎構造改革を進めている。基本的には社会を根本から見すえて,子育て支援を充実し,働き方を見直し,男女共同参画と地域共生社会の実現のために,国をあげて体制整備の最中である。

看護は文化
 このような動きのなかで,社会保障制度を守り,誰もが普遍的にサービスを受けられる現行制度を安定的に維持していくことに,いささかの揺るぎもない。医療でも,利用者主役・地域主義・地方分権については最優先の課題として取り組まれているところである。利用者が病院や施設,在宅の区別なく,本人の個性に応じた多様なサービスを受けるために地域包括ケアという概念が普及している。関連施策と連携をとり,医療は総合的に推進されなければならない。医療安全や地域連携で看護職に国民が期待しているいまは,看護の発展のチャンスである。
 医療をはじめ,日本の社会保障は,基本的に誰もが最高水準のサービスを受けられるという,諸外国に比べて遜色のない制度であり,内容・人員・設備水準も向上してきている。これを利用者が実感できるようにしたい。
 これからは利用者本位のサービスを展開し,そのために自己評価,利用者評価および第三者評価をふまえ,とくにサービス向上の中核は安全であることを認識して利用者に接しなければならない。国中で安全やリスクマネジメントが大きく叫ばれ,将来の様相はかわっていくであろう。日常の勤務のなかで,仕事を効率化し,楽にすることは利用者のためでもある。評価の導入で,努力が報われ,利用者満足度の高いシステムができる。社会の変革と制度の改革は自分自身と看護が飛躍する機会である。
 看護は文化である。看護を見れば一国の文化水準がわかる。いままさに国民が看護への期待を高め,その役割が増大している。期待が高いから不満も大きいのである。現在おこっている改革の流れは看護職のための機会拡大でもある。いままでできなかったことが,できるようになるかもしれない。

改訂にあたって
 看護を中心とする関係法令の中でも資格関係と医療改革関連法について,読者の利便を考え,最新の動きも入れて大きく充実し,法律の見出しについても大きさを違えて,なにが重要かがわかるように改善を続けている。また附録に掲載した条文も必要な法令と条文を見直している。
 看護制度発展のための保健師助産師看護師法の一連の改正に係る法律・政令・省令を網羅しているほか,地域包括ケアなどを内容とする医療と介護を一体とした改革の内容や関係する法律の改正なども加え内容を充実した。諸改正については,読者が卒業したときにも役だつような将来に照準を合わせた長期的な記述としている。これからも引きつづき利用者の視点で内容の充実に努めていきたい。読者のご鞭撻をお願いするものである。
 なお,以上の観点から原則として法令の内容は2018(平成30)年2月1日現在をもとにし,2018(平成30)年4月1日に施行される内容で記した。記述方法,用字・用例については本シリーズの編集方針によっている。

 2018年1月
 森山幹夫


おもな改訂内容
 (1)医療法などの改正において,出張のみで開業する助産師も妊産婦の異常に対応する病院または診療所を定めなければならないこととされ,助産所の管理者は,助産を担当するときは助産・保健指導の方針,妊婦などの異常時に対応する病院・診療所の所在地などを記載した書面を交付し,適切に説明することとされた。また,助産所に関して虚偽の広告や誇大広告,ほかの助産所と比較して優良である内容の広告,公序良俗に反する広告をしてはならないことが明記された。
  また,検体検査の精度を確保するため病院等(診療所・助産所も含む)は施設の構造設備の基準を定めること,特定機能病院は医療の高度の安全を確保するなどの管理運営体制の強化をはかること,助産所と同様に病院・診療所も広告規制を見直すこと,都道府県知事は病院等の開設者に対する監督を強化することなどが定められている。
 (2)臨床研究に対する国民の信頼を確保するための臨床研究法が成立し,治験と相まって安全な医療の発展に寄与する。
 (3)地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法などの改正においては,高齢者の自立支援と介護重度化防止のために,市町村は国から提供されたデータをもとに介護予防と重度化防止の取り組みと目標を介護保険事業計画に盛り込むほか,地域包括支援センターに対する評価を行わなければならないこと,小規模多機能型の居宅サービスなどを充実するために地域密着型通所介護の指定を拒否できること,認知症の理解の普及・啓発をはじめとする新オレンジプランを法律上に位置づけることなどを内容としている。
  また,日常的な医学管理,看取り・ターミナルケアおよび生活施設の3つの機能をもつ「介護医療院」を創設する。介護医療院は介護療養病床からの転換を促すものであり,病院・診療所から転換した場合は,転換前の名称を引きつづき使用できることとしている。なお,現行の介護療養病床について,本来は廃止されるものであったが,2023年度末まで存続が認められ,入所型介護施設の種類が増えることとなった。
  そのほか,行政が医療と介護の連携に一層取り組めるように,都道府県は市町村へ情報の提供などの支援に努めること,市町村は地域住民と協働して地域包括ケアシステムを整備し,地域福祉計画を策定してそこに福祉に関する共通事項を記載するよう努めること,障害者と高齢者が同一の事業所でサービスを受けやすくする介護保険と障害福祉制度の共生型サービスを創設するなど地域共生社会の推進などがうたわれている。
  さらに,介護保険の費用に関して,とくに所得が高い利用者の自己負担割合を3割に引き上げ,医療保険者が払う保険料を人数ではなく総報酬に着目して納付するなどの改正を行っている。
 (4)社会保障制度改革の流れのなかで,国民健康保険において,2018(平成30)年から都道府県が財政運営の責任主体となるなどの制度の改正が行われている。
 (5)これらにより附属法令の収載も関係部分は2018(平成30)年2月現在のもので修正している。
 (6)なお,2018(平成30)年2月から,保健師・助産師・看護師・医師・歯科医師・薬剤師の各国家試験の実施事務が民間に委託されたが,従来は地方厚生局が実施していた事務作業の部分について行われるものであり,法律や政省令の改正は行われない。
 (7)給付額や負担額,所得制限額などの数値は最新のものを記載しているが,年により変更されることがあるので十分了知してほしい。
 (8)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正案が2017(平成29)年の衆議院の解散により廃案となったが,改正案においては,入院措置を講じた者の退院後の援助の強化,精神保健指定医制度の見直しなどを行うこととされていた。

形式に関して
 (1)保健師助産師看護師法など看護をおもなテーマとする法律を看護法という範疇で章だてしているが,あくまで授業の便を考慮した本書独自の分類である。
 (2)全体的に法律の見出しにメリハリをつけ,優先度が高いものがどの法律かわかるようにしている。
目 次
第1章 法の概念
 A 法の概念
 B 衛生法
 C 厚生行政のしくみ

第2章 看護法
 A 保健師助産師看護師法
 B 看護師等の人材確保の促進に関する法律

第3章 医事法
 A 医療法
 B 医療関係資格法
 C 保健医療福祉資格法
 D 医療を支える法

第4章 保健衛生法
 A 共通保健法
 B 分野別保健法
 C 感染症に関する法
 D 食品に関する法

第5章 薬務法
 A 薬事一般に関する法律
 B 人などの組織を用いた医療関連法
 C 薬害被害者の救済など
 D 麻薬・毒物など

第6章 環境衛生法
 A 営業
 B 環境整備

第7章 社会保険法
 A 費用保障
 B 年金
 C 手当

第8章 福祉法
 A 福祉の基盤
 B 児童分野
 C 高齢分野
 D 障害分野

第9章 労働法と社会基盤整備
 A 労働法
 B 社会基盤整備など

第10章 環境法
 A 環境保全の基本法
 B 公害防止の法
 C 自然保護法

附録 看護関係法令
 保健師助産師看護師法
 保健師助産師看護師法施行令
 保健師助産師看護師法施行規則
 保健師助産師看護師学校養成所指定規則
 看護師等の人材確保の促進に関する法律(抄)
 医療法(抄)
 医療法施行令(抄)
 医療法施行規則(抄)
 厚生労働省設置法(抄)
 医師法(抄)
 歯科医師法(抄)
 薬剤師法(抄)
 診療放射線技師法(抄)
 臨床検査技師等に関する法律(抄)
 理学療法士及び作業療法士法(抄)
 視能訓練士法(抄)
 言語聴覚士法(抄)
 臨床工学技士法(抄)
 義肢装具士法(抄)
 救急救命士法(抄)
 歯科衛生士法(抄)
 歯科技工士法(抄)
 あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律(抄)
 柔道整復師法(抄)
 公認心理師法(抄)
 健康保険法(抄)
 日本国憲法(抄)
 民法(抄)
 戸籍法(抄)
 刑法(抄)
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(抄)

索引