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プロメテウス解剖学アトラス 頸部/胸部/腹部・骨盤部


(在庫なし)

監訳:坂井 建雄/大谷 修

  • 判型 A4変
  • 頁 392
  • 発行 2008年07月
  • 定価 11,880円 (本体11,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00571-5
「身体を診る」アトラス ついに登場!
これまでの解剖学図譜とは一線を画す革命的なアトラスの第2巻。CGによって作成された図譜の美しさは秀逸で、これまでにない視点から臓器の立体的な位置関係を理解できる。体幹の内臓器を扱った本巻では、臨床的知識が随所に盛り込まれ、構造と機能をリンクさせて学ぶことができる。医学部の学生はもちろん、研修医や臨床医、コメディカルに最適。
序 文
訳者 序

 『プロメテウス解剖学アトラス』の第2巻をここにお届けする.2007年1月に上梓した第1巻では,解剖学総論と運動器を扱っていたが,この第2巻では頸部と胸腹部の内臓を扱っている.2009年に刊行予定の第3巻「頭部/神経解剖」をもって,全3巻が完結する予定である.

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訳者 序

 『プロメテウス解剖学アトラス』の第2巻をここにお届けする.2007年1月に上梓した第1巻では,解剖学総論と運動器を扱っていたが,この第2巻では頸部と胸腹部の内臓を扱っている.2009年に刊行予定の第3巻「頭部/神経解剖」をもって,全3巻が完結する予定である.

 本書の原著“Prometheus LernAtlas der Anatomie”は,ドイツが培った肉眼解剖学の伝統と,21世紀のコンピューター技術を融合させた,まさに解剖学の歴史の新しい1ページを切り開く解剖学書である.アトラスと銘打っているが,単なる解剖図譜ではなく,また記述を中心に据えた教科書でもない.視認性に優れた解剖図と文字情報を伝えるテキストの特性を生かして融合させた,統合型の解剖学書である.その構成は,系統解剖学や臨床解剖学といった伝統的な枠組みを単に踏襲するのではなく,医学生の学習に必要な事項を再吟味し,重要度に基づいて新たに選択し,新しい魅力的な解剖学の枠組みを実現したものである.解剖学書の命ともいえる解剖図も,独自の構想の下に新たに描かれているが,ここでも画家の優れた感性と技量,さらにコンピューターによる画像処理を用いて,これまでにない高品質のものを実現している.本書を手にとりページをめくると,整理された大量の情報が気持ちよく流れ込んでくる.必要な情報を求めてインターネットでホームページを探していくような快適感がある.

 本書は,全3巻構成のドイツ語版原書として2004年から2006年にかけて出版され,現在では英語版のほかに,日本語,フランス語,スペイン語,ポルトガル語,イタリア語,オランダ語,トルコ語,ギリシャ語,韓国語,ポーランド語での翻訳出版が進んでいる.出版界でも広く注目を集めており,ドイツ語版の第1巻が「2004年ドイツの最も美しい本」(ドイツ・エディトリアルデザイン財団)に選ばれ,英語版の第1巻がBenjamin Franklin Award 2006を受賞している.
 日本語版の第2巻である本書「頸部/胸部/腹部・骨盤部」は,生命維持に不可欠な体幹の諸内臓を扱っており,臨床解剖学においてとくに重要な内容を扱っている.医学生および臨床医だけでなく,幅広い医療職の人たちにも大いに役立つだろう.

 本書「頸部/胸部/腹部・骨盤部」の翻訳にあたっては,坂井と大谷が全体に目を通しながら監訳を担当し,実力と実績のある方々に翻訳の分担をお願いした.翻訳のテキストとしてはドイツ語版を用い,必要に応じて英語版も参照した.訳語については,原則として日本解剖学会監修・解剖学用語委員会編集『解剖学用語 改訂13版』に準じた.日本語訳にあたっては瑕疵がないように細心の注意をしたつもりではあるが,至らぬところは監訳者の責である.

 わが国における解剖学教育では,長年の献体の活動により十分な解剖体を得て,世界的にも類を見ない充実した人体解剖実習が実現されている.とはいえこの10年ほどの間に,医学教育を取り巻く環境が大きく変化し,基礎医学の教育においても,膨大な知識の習得を効率よく達成することが求められている.解剖学においてはさらに,医学全般の基礎として人体の構造について十分に理解を深め,解剖という行為を通して人体を扱う責務の重さを体験し,医療においてなくてはならない他者への愛を涵養するという,全人的な教育を心がけている.優れた教材の開発は,教育の困難と負担とを軽減し,より充実した解剖学教育を行うのに不可欠なものである.本書『プロメテウス解剖学アトラス』が,多くの学生たちに行き渡り,よりよい医療者となるべくその基礎を築いてくれることを願う由縁である.

 訳者を代表して 坂井建雄,大谷 修
 2008年5月12日
書 評
  • 解説書,教科書的な要素が増え,臨床に直結する内容も豊富になったアトラス
    書評者:小澤 一史(日医大大学院教授/生体制御形態科学)

     『プロメテウス解剖学アトラス』の第1巻として「解剖学総論/運動器系」が刊行されて以来,それに続く「頸部/胸部/腹部・骨盤部」の出版を,まだかまだかと大変に待ち遠しかったのは私だけではないだろう。第1巻でその図の美しさ,精密さがすでに示されていたわけであるから,続編の質が極めて高いことは想像に難くな...
    解説書,教科書的な要素が増え,臨床に直結する内容も豊富になったアトラス
    書評者:小澤 一史(日医大大学院教授/生体制御形態科学)

     『プロメテウス解剖学アトラス』の第1巻として「解剖学総論/運動器系」が刊行されて以来,それに続く「頸部/胸部/腹部・骨盤部」の出版を,まだかまだかと大変に待ち遠しかったのは私だけではないだろう。第1巻でその図の美しさ,精密さがすでに示されていたわけであるから,続編の質が極めて高いことは想像に難くなかった。実際に,本書を手にとり,そのページを開いて,思わず「にんまり」としないわけにはいかなかった。

     「解剖学総論/運動器系」ではその名の通り,「アトラス」としての役割が高い本であると感じたが,今回の「頸部/胸部/腹部・骨盤部」ではアトラス的な要素はもちろんであるが,「解説書」「教科書」的な要素が多くなり,特に基礎科学として解剖学的な見地から内臓学を学ぶとともに,臨床医学に直結する内容が豊富に散らばっており,工夫がなされている様子がよく分かる。

     例えば間接喉頭鏡の観察像,呼吸による肺容積の変化や力学的な影響,胃粘膜の内視鏡像,種々のX腺画像,臓器と神経支配の図などが「ここ!」というポイントに示され,学ぶ楽しみを引き出そうとする著者の思いがにじみ出ている。内臓系が中心ということもあり,発生学的な説明や生理学的な機能面での解説も多く見られ,充実した「アトラス」になっている。

     最終章で扱っている「各器官に分布する神経・血管・リンパ管」では,非常に簡潔に単純化した内臓と神経,血管,リンパ管との関係が示されている。

     この単純化された関係図を見ながら,詳しい教科書の記述を読めば,これらの仕組みを能率よく身につけることができる。まさに「自ら学ぶ」ための道標としても利用でき,解剖学における少人数のチュートリアル的学習などにも活用できると感じた。

     さて,全体を見渡して感じたもう1つの点は,アトラスの図と解説が余裕をもって配置されており,適度な「空き」のスペースが設けられていることである。解剖学を学ぶ学生,医師,医療関係者,様々な学習者には,このスペースを大いに有効利用し,自分なりの学習情報を加えたりして,自分だけの,または自分流の『プロメテウス解剖学アトラス』を作成してもらいたいと思う。

     私自身,すでにこのスペースを利用して,例えば組織学的なプラスアルファ,生理学的なプラスアルファ,分子生物学的なプラスアルファ,臨床的なプラスアルファを書き込み,オリジナルなプロメテウス作りにはまりつつある。次の「頭部/神経解剖」も本当に待ち遠しい。
  • 透明感という衝撃 新たな解剖学書の誕生
    書評者:佐々木 克典(信州大教授・組織発生学)

     解剖学書の生命は挿入された図にある。図を1枚見ただけで,どの解剖学書かすぐ分かるほど,風雪に耐えた解剖学書の図は個性的である。これまでさまざまな意匠の図が多数描かれており,「これ以上新しい図が登場することはないだろう」と思っていても,『プロメテウス解剖学アトラス』の図のように,私どもの想像を超えた...
    透明感という衝撃 新たな解剖学書の誕生
    書評者:佐々木 克典(信州大教授・組織発生学)

     解剖学書の生命は挿入された図にある。図を1枚見ただけで,どの解剖学書かすぐ分かるほど,風雪に耐えた解剖学書の図は個性的である。これまでさまざまな意匠の図が多数描かれており,「これ以上新しい図が登場することはないだろう」と思っていても,『プロメテウス解剖学アトラス』の図のように,私どもの想像を超えたさらに衝撃的な図が生まれてくるところにこの領域の面白さがある。

     本書の図の特徴は,透明感である。ギリシャ神話に登場する女神や妖精が透けた衣類を身につけ,舞うようなイメージの図が数多く挿入されている。この透かしの技法は日本の芸術にも時折見られるが,ヨーロッパが得意とするものであり,カメオ職人が,自分が彫った妖精を見せながら,透けている状態を掘り出す難しさを,熱を込めて語ってくれたことを思い出す。この技法は1枚の図の中で,お互いの臓器の関係,特に裏側にある血管との関係を表現するために極めて有効に使われており,その描き方はまさに芸術である。

     臓器を包む結合組織でできた膜の解剖は臨床的アプローチ,特に剥離操作に欠かすことができない。しかし,解剖図の中でこれを描き出すのは至難の技であり,図式的なものはあるものの,リアルなタッチで描くことに成功した解剖書は極めて少ない。本書は,この困難な問題をクリアした稀有な解剖学書であり,頸部や骨盤構造を包む複雑な膜構造を実に明快に写実的に描き分けている。

     人体の構造は決して平面的あるいは平行に存在するわけではなく,三次元的構造の中で複雑に綾を成している。解剖の難しさ,面白さはまさにこのクロスを理解することにあり,同時に臨床に欠かせない情報となる。しかし,この複雑な構造をすべて描き出しても,かえって混乱させるだけである。必要な構造をどのように抽出し,描き分けるかが重要であり,それが,その解剖学書の意図を鮮明にする。本書は臨床で問題になるクロス構造を実に丹念に取り上げている。例えば,直腸子宮靭帯(基靭帯)とクロスする構造の描き方などは白眉である。こうした図が随所に挿入されており,このアトラスが基礎から臨床への連続性を意図しているのは明らかである。

     プロメテウスが意味する“先に考える者”にふさわしく,これまでにない視点から作り上げられたこの解剖学書は,卓越した美しさと目的の明快さで医学を学ぶ人々を圧倒するであろう。解剖学全般に深い造詣を持たれておられる坂井建雄教授,大谷修教授による優れた監訳は,この新しいタイプの解剖学アトラスを読者により身近なものにしている。解剖学を学び始めた医学生が人体の構造の妙味を知るために,現場に立つ外科医が自らの知識を整理し確認するために,このアトラスを座右に置かれることをお薦めする。
  • 人体解剖学実習を擬似体験できる書
    書評者:青山 裕彦(広島大大学院教授・解剖学)

     『プロメテウス解剖学アトラス』は,アトラス(図譜)というよりは,図をふんだんに用いた,そして図を主体にした局所解剖学的教科書というべきものである。第1巻(解剖学総論/運動器系)を初めて書店で手に取ってみた時,その図が美しくかつ明解であることに惹かれた。第1巻は理学療法のような運動学を学ぶ分野にとり...
    人体解剖学実習を擬似体験できる書
    書評者:青山 裕彦(広島大大学院教授・解剖学)

     『プロメテウス解剖学アトラス』は,アトラス(図譜)というよりは,図をふんだんに用いた,そして図を主体にした局所解剖学的教科書というべきものである。第1巻(解剖学総論/運動器系)を初めて書店で手に取ってみた時,その図が美しくかつ明解であることに惹かれた。第1巻は理学療法のような運動学を学ぶ分野にとりわけ好評であった。図の豊かさが立体構造をとらえやすくさせ,それが運動機能の理解につながる。このたび出版された第2巻は内臓が主たる部分を占める体幹部の局所解剖学であり,第1巻の特長がどれほど生かせているか,興味を持って読んでみた。

     期待に違わず,図は大変わかりやすく構成されている。おそらく初学者でも容易に人体構造を三次元的に理解できることであろう。理解しやすい理由の一つは,何枚もの図が一つの視点から描かれていることである。例えば,胸部を前から見た図は,胸郭前壁を取り除いたところ(心臓はまだ心膜をかぶっている),心膜の前壁を取り去ったところ,心臓と心膜を取り去って肺,食道,大動脈,肺動脈を見せる,ついで肺も取り去って食道,大動脈,迷走神経を見せる,さらに壁側胸膜を取り去って胸郭後壁と大動脈,喉頭と気管を見せる,など合計14枚あるが,これらはすべて同一の角度から眺めたようになっている。コンピューターグラフィックス技術により全く同じ図を使い,さまざまな組み合わせで新しい図を作っているのであろうが,見事に統一されている。図の製作のみに8年を費やしたというのももっともである。その結果,それぞれの図はお互いに,あたかも人体の解剖を再現するようになっている。読者は混乱することなく,図を見比べながら,心臓を取り除いたり戻したりできるのである。

     本文も,図に劣らず簡潔明解である。図を用いて説明する際の基本的情報が整っているのもよい。どちらから見たものか,その図を作るためにはどのような器官組織を取り除いてあるか,などはアトラスとしては当然の記載であるが,読者が迷うことなくその図に入り込むためには必須である。本文の読みやすさは,もちろん訳者の功が大であるが,本書の作り方にもよっているのであろう。謝辞によれば,人文科学者に,図も含めて全文を読んでもらい,その意見を取り入れて改訂していったという。これで合点がいく。同業者の場合,批判を求められても,科学的内容については十分な校閲が可能であろうが,図は「見ればわかるだろう」,文章は「この程度のことは書かなくても誰でもわかるだろう」という陥穽にはまってしまう。本を読める人であれば誰が読んでもわかる,というのが理想的であるが,その実現のためにはこのような労力が必要なのである。

     解剖学教育(教科書)の世界的潮流は,臨床医学へのつながりが重視され,系統解剖学から,局所解剖学に移っている。とはいえ,器官系ごとに一体として学ぶ系統解剖学的アプローチも,機能的に説明しやすいという点から捨てがたい。特に生物学になじみの薄い学生が解剖学を履修する場合には,どちらかといえば,系統解剖学的なやりかたの方が学びやすいのではないか。もちろん,最終的には,各器官が他の構造とどう関わるか,人体の統合的構造を知らねばならず,それには局所解剖学的アプローチが必要となる。しかし初学者にとって,さまざまな器官の入り組んだ人体の立体構造を書物から読み取ることは容易なことではない。系統解剖学で学んだ事柄を局所解剖学と対応づけることが難しいのである。人体解剖学実習の役割の一つはその困難を解きほぐすところにあるが,その機会に恵まれない医療系の学生も多い。本書を使って,人体解剖学実習を擬似的に体験すれば,実習が不十分な環境にあってもそれを補うことができるであろう。幸いにして十分な実習のできる恵まれた環境にある学生にとっては,本書は,より充実した実習を行う助けとなるはずである。そして,解剖学とは久しくごぶさたという諸氏が,自身の専門分野を離れ,あらためて人体構造を見直してみたいという際,その目的にかなう一冊である。
目 次
頸部
 1 概観と筋系
 2 神経と脈管
 3 頸部内臓
 4 局所解剖
胸部
 1 胸腔
 2 臓器
 3 血管
 4 リンパ系
 5 神経系
腹部・骨盤部
 1 腹腔・骨盤腔
 2 臓器
 3 血管
 4 リンパ系
 5 自律神経系
各器官に分布する神経・血管・リンパ管
付録
 文献
 索引