新臨床外科学 第4版

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今回の改訂では、平成18年開始の外科専門医筆答試験を念頭に、「外科専門医」に求められるスタンダードな知識を、日本外科学会「専門医修練カリキュラム」に準拠して網羅。すでに専門医の資格をもつ外科医には、自らの知識のブラッシュアップのソースとして、これから専門医をめざす医師には、信頼できる受験参考書として必須の書。また日常の臨床にも有用な情報を提供する。
監修 武藤 徹一郎 / 幕内 雅敏
編集 川崎 誠治 / 佐野 俊二 / 名川 弘一 / 野口 眞三郎 / 平田 公一
編集協力 渡邉 聡明
発行 2006年07月判型:B5頁:1304
ISBN 978-4-260-00096-3
定価 25,300円 (本体23,000円+税)

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1 基礎的知識
 病理学-病理のわかる外科医のために-
 腫瘍学
 侵襲と生体反応
 輸血
 止血,凝固,線溶系
 代謝,栄養学
 感染症
 免疫学
 創傷治癒
 周術期の管理
 麻酔学
 集中治療
 救命・救急医療
2 救急救命処置
 心肺蘇生法
 救急処置
 外傷の応急処置
3 基本手技
 胸部手術のファンダメンタルズ
 腹部手術のファンダメンタルズ
 内視鏡下手術
 外科手術に必要な検査
4 消化管
 食道
 胃
 十二指腸
 小腸,結腸
 腸間膜,虫垂
 直腸,肛門
5 肝胆膵
 肝臓
 胆道
 膵臓
6 脾臓,門脈
 脾臓
 門脈
7 イレウス
8 乳腺
9 呼吸器
 気管
 肺,気管支
 胸壁,胸膜
 縦隔
10 心臓・大血管
 心臓
 血管
 リンパ管
11 頭頸部,体表,内分泌外科,その他
 皮膚
 軟部組織
 頸部
 唾液腺
 副甲状腺(上皮小体)
 甲状腺
 副腎
 性腺
 ヘルニア
12 小児外科
 総論
 顔面,頸部
 肺,気管,胸壁
 消化管
 周産期イレウス
 肝臓,胆道,膵臓
 腹壁,横隔膜,臍部,鼠径部の異常
 小児悪性腫瘍
和文索引
欧文索引

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外科専門医のためのスタンダードテキスト
書評者: 兼松 隆之 (長崎大教授・移植・消化器外科)
 外科教科書のスタンダードとして,定評のある「新臨床外科学」が,このたび第4版として上梓された。この衣替えでさらに魅力的な特徴を打ち出している。

◆〈第1の特徴〉 外科専門医のためのスタンダードテキストとしての位置付け

  「新臨床外科学」の初版は医学部の5・6年生や研修医などを対象とした教科書としてスタートした。そのため医師国家試験対策や臨床研修の中でも,外科に必要な基本的な知識を得るのに十分な配慮のもとに編纂されてきたが,第4版でもその方針に揺るぎはない。そのうえでページ数を増加させ,“外科専門医”を目指す者のスタンダードテキストとしても使えるように,内容が高度化されたのが大きな特徴である。

◆〈第2の特徴〉 医学生のチュートリアル・臨床実習教育でも使いやすい内容

  医学生諸氏にとっては,最近では与えられる知識より,自らが調べ,学ぶ教育へとシフトしている。それに対応するためには,教科書に掲載されている内容にはそれなりの深みも求められる。今回の改訂版でも,「基礎的知識」の項には十分なスペースを割いている。また,外科治療についても単に手法を述べるにとどまらず,治療成績も最新のものが図示されていることなど,卒前の医学教育においても使いやすく,また重厚さも併せ持った座右の書となった。

◆〈第3の特徴〉 写真・図が豊富で鮮明さは特筆もの

  いまや,医学教育には画像診断や病理所見等を理解することは必須である。医師国家試験でもそれらの知識と理解力を求める問題も少なくない。幸い,本書には,典型的なX線,エコー,MRI,内視鏡写真から病理の肉眼・顕微鏡写真などが豊富に掲載されていることも大きな特徴である。しかも,第4版でのカラー写真の鮮明さはまさに特筆ものである。

◆〈第4の特徴〉 重要箇所にはアンダーラインの細かい配慮

  内容が豊富な教科書であるから,知りたい項目にはすべて目を通してもらいたいところではあるが,現実には多忙を極める日常の中,それがままならぬこともある。本書の特徴のもう一つは,特に重要な箇所には下線が引いてあって,読者に注意を喚起している点である。細やかな配慮がうれしい。

◆〈第5の特徴〉 現代の医学教育にマッチした多彩な執筆陣

  元来,教科書の執筆者は教育に携わる機会の多い大学関係者で占められがちであるが,本書では執筆者の約20%は大学以外に勤務する専門医である。いまや臨床教育は大学だけでは偏りがあり,関連教育病院との協力が必要であることは広く認められているところである。本書は臨床実地の教育の観点からも,非常に考え抜かれた専門医によって構成された執筆陣である。

病態・治療法が一目でわかる 臨床に即した名著
書評者: 田林 晄一 (東北大教授・心臓血管外科)
 本書は2006年に医学書院から出版された。監修は武藤 徹一郎癌研究会有明病院院長と幕内雅敏東京大学大学院教授で,編者を含め158名の分担執筆からなっており,若手外科医の外科的素養を高める目的で企画,執筆された著書である。

 内容は外科学を学ぶために必要な基礎的知識(病理学,侵襲と生体反応,輸血,免疫学,代謝栄養学等),創傷に対する救命救急の基本的手技と必要な処置,胸部外科,腹部外科および内視鏡外科に関する基本的手技,そして種々の外科的疾患の病態と治療法からなっている。特に,外科的疾患としては消化管,肝胆膵,脾臓・門脈,イレウス,乳腺,呼吸器,心臓大血管,頭頸部体表,内分泌外科,小児外科に分類され,それぞれの分野の代表的疾患について概念,病理・病態生理,臨床所見,検査所見,診断,治療,予防に関して簡潔明瞭に記載されている。図およびイラストが多く取り入れられ,病態および治療法が一目でわかるように配慮され,特に掲載されているカラー図は明瞭で見やすい。

 本書は医学部学生の外科学ベッド・サイド研修,自己学習,および卒後初期・後期研修時の教科書的内容を目指して企画,編集されたものであるが,その目的に十分値するものと思われる。外科学の基礎的知識と種々の疾患の病態を,机上でいかにも眼前にそれぞれの疾患症例がいるような感じで学ぶことができる名著で,まさに臨床に即した本であると思われ,推薦に値する。

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