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腸にやさしい 大腸内視鏡挿入法

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大腸内視鏡の挿入技術は習得が難しい。特に、初心者は指導医の言うことは頭では「わかる」が実際やってみると「できない」。本書では、従来、類書に見られる、部位別の各論的な挿入法だけでなく、屈曲部に共通する基本的な挿入技術についてイラストを用いて詳細に解説。「誰にでもできるシンプル、かつ、腸にやさしい挿入法」を展開していく。
高木 篤
発行 2005年05月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-10674-0
定価 8,800円 (本体8,000円+税)
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  • 目次
  • 書評

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I章 挿入法の修得

 第1講 指導医による観察

 第2講 屈曲部の基本操作を徹底的にマスターせよ

II章 体外基本操作法

 第3講 スコープ操作の用語

 第4講 スコープのアングル部とシャフト部

 第5講 シャフト部を省エネ回転法で自由自在に操る

 第6講 左右アングルも使ったアングル部の操作法

III章 腸にやさしい挿入法の原理

 第7講 腸にやさしい挿入法が求められている

 第8講 腸にやさしい挿入法 総論

IV章 最小ループ法 総論

 第9講 腸管ループは諸悪の根元

 第10講 腸管ループの構成要素

 第11講 腸管ループの反作用による推進力は危険

 第12講 直達性の保持

 第13講 自由腸管と固定腸管

 第14講 屈曲部の3つのパターンと最小ループ法

 第15講 最小ループ法の構成要素

V章 面壁スライド法-腸を伸ばさずヒダをめくる

 第16講 面壁スライド法 総論-屈曲部は壁を見ながらめくれ

 第17講 頻回吸引法-目前の空気をひたすら吸引せよ

 第18講 オリエンテーション論-まず引いて行き先を確認せよ

 第19講 至適距離論-首の皮1枚の距離でめくれ

 第20講 軌道修正論

 第21講 トルク論

 第22講 左右アングルアシスト法

 第23講 アップ・ライト・プルからダウン・レフト・プッシュへ

 第24講 ねじれとり法(左右反転法)-右がだめなら左に回せ

 第25講 体位変換法

 第26講 閉じた管腔を開けさせる工夫

VI章 引きつけ法-ヒダを引きつけて届かせる

 第27講 引きつけ法

VII章 七割押し法-最小限の押しにとどめる

 第28講 七割押し法

VIII章 短縮法-できたループを解除する

 第29講 短縮法

 第30講 アップアングル法

 第31講 左回り法

IX章 直線化確認操作と用手圧迫法-直線化を確認して保つ

 第32講 直線化確認操作

 第33講 用手圧迫法

X章 減速論と疼痛フィードバック論-ゆっくりやさしく

 第34講 減速論

 第35講 疼痛フィードバック論

XI章 撤退論-最悪の事態を回避せよ

 第36講 無痛率を中心に据える

 第37講 途中でやめるための心理機制

XII章 スコープの選択

 第38講 適切なスコープを選択する

 第39講 絶対穿孔しないスコープ

 第40講 軟らかいスコープのほうが痛くない

 第41講 小回りの利くスコープのほうが痛くない

 第42講 理想の内視鏡

 第43講 小腸ダブルバルーン内視鏡について

XIII章 部位別挿入アルゴリズム

 アルゴリズム0 部位別挿入法 総論

 アルゴリズム1 RECTUM

 アルゴリズム2 RS

 アルゴリズム3 SIGMOID COLON

 アルゴリズム4 S-D JUNCTION

 アルゴリズム5 DESCENDING COLON

 アルゴリズム6 SPLENIC FLEXURE

 アルゴリズム7 TRANSVERSE COLON

 アルゴリズム8 HEPATIC FLEXURE

 アルゴリズム9 ASCENDING COLON

 アルゴリズム10 WITHDRAWAL

参考文献

あとがき

索引

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基本手技をわかりやすく理論的に説明
書評者: 鶴田 修 (久留米大助教授・第2内科)
 本書の著者である高木篤先生とは,東京で月1回開催されている「大腸疾患研究会」で知り合って以来,10年以上の付き合いである。高木先生は一言でいえば“大腸オタク”であるが,一般にいう“オタク”とは異なり周りの人から尊敬される“美しい大腸オタク”である。大腸腫瘍を突き詰めて検討する姿は,傍らから見ていて恐ろしいほどの根気と迫力であり頑固でもあるが,本人の納得できる助言や意見に対しては素直に対応され,それをも自分のものとして吸収し,さらに真実に近づこうという姿勢を貫いていらっしゃる。これが美しく見え尊敬されるゆえんである。また著者は,大腸腫瘍のpit patternに関してもすばらしい業績の数々を残されているが,本書を読んでみて病変の解析と同様に大腸内視鏡挿入手技に関してもコツコツとその理論を構築されていたことに気づかされ,本当に大腸を愛している人であると感心したと同時に,まさに“大腸オタク”の名に相応しいことを再確認した次第である。

 次に,本書を読んでの感想を列挙させてもらう。(1)理論的でわかりやすい。ほとんどの挿入パターンがわかりやすく図説されており,非常に理論的である。私自身,何気なく操作してしまい,理論などあまり考えなかったことが本書では何か所も理論的に図説してあり大変ためになった。(2)基本的操作を十分に解説してある。挿入に関する基本手技がほぼ完璧に記載され,初心者にとってはこれ以上ないと思われるくらい懇切丁寧に説明してある。(3)すべての手法・理論を解説した後に部位別挿入法が記載されている。これにより,部位によりある程度の違いはあるが,挿入手技が複雑で難しいものではなくほとんどが基本的操作の繰り返しで盲腸への到達が可能ということが理解できる。(4)正直である。ループを形成せず,患者の苦痛のないように挿入するのがベストであり,実際ほとんどの症例でそれが可能であるかのように説明している解説書の多い中,少なからずループは形成されることを正直に述べ,どうしてもループを形成する症例において疼痛を最小限に抑えるコツを手技面やスコープの選択などから解説してある。これらの理由だけでも本書が優れていることは理解できると思われるが,「チョットひといき」,「大技小技」のコーナーでは著者の本音や経験談が記されており,さらに親切な内容になっている。

 最後に,本書はこれまで私が読ませてもらった大腸内視鏡挿入手技の解説書の中で最も優れた内容に仕上がっており,これから大腸内視鏡検査を始めようとする初心者はもちろんのこと,中級者以上,さらには教育に携わる上級者にもぜひお勧めできる1冊である。

すぐに使える,新しい大腸内視鏡挿入法の本
書評者: 斉藤 裕輔 (市立旭川病院・消化器内科部長)
 大腸疾患の増加により,大腸内視鏡検査の需要が増加している。機器の発達により,以前と比較してかなり容易となったものの,それでも依然として患者さんにとって,大腸内視鏡検査はつらい検査のひとつとなっていると思われる。

 本書は,ひとことで言うと,“感性に訴える新しいタイプの大腸内視鏡挿入法解説書”である。細部にわたり懇切丁寧に書かれ,初心者にもわかりやすく記載されており,読者の知識と理性に訴えるばかりではなく,豊富で具体的,かつ精巧な図,擬音的な表現など,感性にも大いに働きかける解説本である。著者の高木先生のお人柄が至るところによく現れており,各所にユーモアたっぷりのコメントも記載され,読み物としても楽しく(失礼),小生も一気に読破してしまった。指導医の「できるけれどわかっていない」,初心者の「わかるけれどできない」とはまさに格言であり,小生も「無意識に行っていた動きは,この原則に基づいていたのか!」と再認識させられる点が多々あった。特に,達磨大師から引用したという「面壁スライド法」は彼の師匠である工藤進英先生の軸保持短縮法を,さらに具体的にわかりやすく解説したテクニックであり,大変優れた本書の基本テクニックになっている。また,困ったときに具体的にはどのような手順で困難を解決していくかについても,こと細かく解説されている点もすばらしく,まさに「今日からすぐに使える教科書」となっている。

 本書を読むことで,初心者は本解説書の通りに検査を行って名人をめざしていただきたい。必ずなれます。また,ある程度経験のある内視鏡医は挿入困難例を減らし,さらに「腸にやさしい,痛くない大腸内視鏡」をめざしていただきたい。また,ベテランの内視鏡医(小生も自分ではそう思っている)も,自分の現在の挿入法と比較して本書から得られる多くのヒントを密かに(公にすると格好悪いので)利用して,さらなるスーパーCF名人をめざしていただきたい。最後に本書で勉強し,高い挿入技術を持った内視鏡医が多くの大腸疾患を,また新たな大腸疾患を発見することで,本書が消化器内視鏡学そのものの発展にも寄与することを願っている。

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